どうする家康

徳川家康」は歴史ドラマの王道テーマだが、「どうする」の時点で「王道から逸らす」という制作側の気概は感じた。しかし、それは自分にとって違和感ばかりを見せられてたように思う。通説から外す展開にしても構わないが、それをちゃんと視聴者に納得させて欲しいのだ。

一番のキモは、家康最初の妻、築山殿(瀬名)役の有村架純。非常に目を引く花形女優で、最初から彼女の存在を際立たせた贔屓目演出が行われていたのだが、彼女が亡くなるまでの展開がひどい。彼女は戦乱の世を変えるため近隣諸国と手を取り合う慈愛の社会を作る、などといきなり解きだすのだ。現代人の視点ならわかる。実は瀬名は現代日本からの転生者でした、とかいう最近ありがちの設定を入れてきたのなら理解もしよう。しかしあの時代の、武将の娘として生まれ育ったおなごがそんな「妄想」を解き始めるなんてかなりの異端だし、家康含めた武士たちまでが同調するなんてあり得るわけがない。どうゆう説得スキルだよ。そしてその野望がついえたと分かったら、今度は息子と一緒に死にたがる。(この世界観の)家康が愛する妻と息子をひそかに逃がそうとするのは分からないでもないが、その状況から敢えて死ににいく二人。「決められた歴史を変えてはいけないんだ!」とか、まるで時間超越者みたいな信念を持っているかのように、わざわざ死んでいく展開にあっけにとられた。相当なお涙頂戴満載モリモリ演出だったので、名シーンのごとく語られる感想もあったようだが、自分には信じられませんね。

彼女が死んで。もうひとりの独自な当作キャラ、「BLっぽい荒々しさの佇まいで家康との妖しい関係を築いてきた」織田信長本能寺の変で死んでからは、憑き物が落ちたかのように王道感のある家康の物語になっていった。そんな後半は落ち着いて観ることができたかな。そんな感じ。さて、次行ってみよう。

明日からは「光る君へ」が始まる。平安時代の、女流作家たちの時代は一度は大河ドラマ化すべきとは思っていたが、それが人気を得られるかというととても難しいところ。でも意義があるからやるんだよ。な、NHK
ちなみに紫式部役の吉高由里子はCMで観る限りお気に入り。独特の声が好きで。ただこのひとのドラマを観たことがほとんどなく。あの声が紫式部にちゃんとはまるのかが少し不安。