鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

もともとね。第6期は好みだったのです。もちろん1期2期こそ原点。
ただ時代を経ていくにつれて鬼太郎のキャラにブレが出ていたと思うのよね。(と言ってもまともに観てたのは3期までなのだけど)現代の子供に媚びたる僕らの仲間。人間の味方としての鬼太郎になってるっぽいなあ。でもそれはなんか違うと思ってた。評判の良かった6期はその点バランスが絶妙。妖怪がほぼ駆逐しきられてしまった現代において、鬼太郎はそれほど人間にやさしくない。人間に対して冷めていてあまり関わろうともしない。だが、それでも最後には人間を助けてくれる。ちょうどいいと思う。

この映画は第6期の流れにあるタイトルらしいと聞いていたので、ひょっとしたら、というアンテナだけは張っておいた。そしたらこれも名作との評判。早速見てきた。最近こういうパターンが増えた。無駄金は使いたくないが、良いものは映画館で観ておくべきで。このところ豊作続きなのだろう。なにより。

作風は、水木というより横溝正史?(<実はまともに観たもの、読んだものはない)じっとりする怖さはあってもゲゲゲっぽくない。しかし設定として繋がっている点が逐一合っているので「これじゃない」とはならない。むしろこういうのもアリ、だ。そしてラストはしっかり鬼太郎誕生の根幹を描いて落とす。展開は惨いし登場人物はほとんど酷い目に会って終わるのだが、納得感が強くて拒否反応もない。良い仕事だ。観てよかった。脚本は吉野弘幸?いかん。ノーチェックだったが調べてみたらガンダムSEEDの「舞い降りる剣」の回を担当していたのか。さすが。

声優もやけに豪華。アーニャにフリーレンと大物続きの種﨑敦美が作品内最強の美少女を演じているのはいいとして、皆口裕子釘宮理恵らが残念なおばさんらを演じてるのが…。
古川登志夫も老けてない。ククルスドアンのカイ・シデンはちょっと落ち着きすぎて心配してたのだけど。音楽はエンディングテーマがいい。オープニングテーマは歴代の番組で使われているが、初期エンディングの「カランコロンの歌」のも好きで。このフレーズを拾ってきてくれたのは嬉しい。

最後に。今年は「戦争の影響が残った昭和」を扱う作品が目立った気がする。「君たちはどう生きるか」に「ゴジラ-1.0」と今作。令和の今だからこそ、振り返りたくなる時代だということかな。