君たちはどう生きるか

老いた作家の特徴のひとつ。細かい整合性を気にするより、描きたい表現を優先する。そのため物語が分かりにくくなる、あるいは物語の体すら失うことすらある。宮崎駿作品も、数作前からそういう傾向が見えてきていた。今作の賛否が分かれた理由はそうなのだろうと思っていた。
事前告知なしってのはいいね。世界感すら分からず、ただ表紙とタイトルだけを頼りにページをめくり小説を読むが如し。次はどんな展開になるのかワクワクしつつ、一方で、先に挙げた不明瞭展開も意識した。あまり整合性を気にするのはやめよう。疑問を持たず、ただ物語に身を委ねる。そうして観ていたら、普通に面白かった。そこに若さはない。老人の夢。どこか死を思わせる、どこかしらジョージ・マクドナルドの描くような、ファンタステスにリリスのような、暗くて重い、そして美しいファンタジー
派手さはないし、好きでない人も多いだろうが、自分は結構気に入った。