劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語

2011年にテレビ放映された「まどマギ」は名作だった。最終回から半年ぐらいは自分のなかに熱狂的な余韻があった。が、意外と早く醒めた。熱狂が熱すぎた反動もあるが、物語に拡張性がないのも一因だった。完璧なまでに綺麗に完結していたのでまともな続編も作れないだろうしな、と。もちろん名作を産んだ側には対価として十分稼いで欲しいと思っていたので、映画化は賛成。今回の新編…続編?も、蛇足的な話にしかならんだろうから自分は観にいかないけどさ。それなりにファンに受け入れてもらえればいいんじゃない?という感じだった。のだけど、ネットで評判を見るに異常に評価が高いようだ。え、なんで?まさか、そんな。
ということで早速観にいくことに。

平日の朝イチ。ほぼ貸切状態で観られるに違いない、との予想も裏切られた。穴場であるはずの定位置、一番前中央席が取られている?!席につくと、時間帯からしてもちろんガラガラなのは当たり前だけど10人近くは客がいる。むむむ。期待されているのだな。

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ということで閲覧後感想(ネタバレあり)。
素直にすごいと思ったのは、今作がまごうことなき続編であったこと。過去の回想だとかパラレルワールドだとか書かれなかったエピソードとかでなく、あの物語のラストからガチで続きを書いてしまった力業。ラスト近辺で急激に難解になった前作の続きだけあって、さらに難解になったのはチトきついが。しかし本当にすごかったのは「ここで終わり」と思った後の新展開。「ここ」で終わっておけばわりと素直に受け入れられたのに、なんで?いや、確かに伏線もあったし、展開としては納得できるのだけど、幾分居心地の悪いラストではあった。

帰宅してからしばし吟味。ネットの感想を読み解きだいぶ納得できるようになった。ひとつここで書けるのは、前作がまどかが望んだラストだったのに対し、今作はほむらが望んだラストであった、ということ。まどかは神様なので誰にも等しくすべからく愛を与える存在だが、ほむらは只まどかだけを愛する存在。前作ではほむらがまどかを救うためだけに育んだ力をまどかは全ての魔法少女のために使い神になった。が、今作ではほむらがその力をさらにもうひとひねりして、まどかを元の人間に戻してしまう。神を人間に堕ろす者、それは悪魔だ。全体に愛を施すのが神で、独りに愛を向けるのが悪魔。見事な対になっている。人に進められる名作かどうかはともかく、蛇足どころか前作をひっくり返してしまう衝撃は認めざるを得ない。