暴太郎戦隊ドンブラザーズ

定型的なスタイルで長寿を維持するスーパー戦隊シリーズは、常にマンネリを壊す挑戦をし続けているシリーズでもある。
前作の主人公以外全員ロボなゼンカイジャーは、ノリこそおバカであったけれども、そのフォーマットは逆に定番であり続けることを意識した作りだったと思う。アニーバサリータイトルだったしね。今作は逆に、中身の定番フォーマットをどれだけ壊せるかにチャレンジした作品だったと思う。
終盤になるまで全員が正体をお互いに知ることもなく。倒すべき絶対悪もなく。名乗りも基本的になく(スペシャルではあった)、世界観も伏線も良く分からないまま最終回を迎えてしまった。主敵だったはずの脳人3人も仲間に加わり大団円。

もちろん面白かった。主客たるお子様たちがどれだけついてこれたのかが非常に疑問ではあるが、クセのあるキャラたちの織り成すおかしなドラマには興味を惹かれ続けた。

…けどね。実際のところ、途中で割と冷めた。最初はわけの分からない展開に驚き。これはどういうことだと作品世界のあらまし紹介にかなり熱く期待をしていたのだけど。いつしか制作側がまともな説明をする気がないのだと気づいてしまった。たぶん良く考えてないのだろう。老成ストーリーテラー特有のある種の境地。世界説明などいらない。面白いドラマがあれば良いのだ、と。それで満足できない自分はまだ若造ということだ。

最終回後、混ぜるな危険と言われた「暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー」の制作が報じられた。脚本が双方のライターによる合作とのことで、丁寧なつくりの香村色が出てくれば、両作品にでてくる「五色田介人」の謎に迫ってくれるかもしれないが、ゼンカイ脳に井上御大の影響も大きいので、結局茶化して終わりの展開しか予想できない。この手の特別編はそもそも世界観がいい加減だしな。

次回作の「王様戦隊キングオージャー」は新たな世界観を見せてくれそうだが、そんなことをしなくても、そろそろ安心できるマンネリ王道でもいいかなという気もする。どちらでもいいからともかく面白い作品になってほしい。