ヒーリングっど プリキュア

 

ヒーリングっどプリキュア Blu-ray vol.1

ヒーリングっどプリキュア Blu-ray vol.1

  • 発売日: 2020/09/16
  • メディア: Blu-ray

 香村純子が初めてシリーズ構成を手掛けるプリキュア。そりゃ期待値を上げましたよ。ほら、上がってるでしょ。実際、3人のプリキュアが誕生する序盤の流れは見事に神掛かった展開で。これはいけるぞ、と。
しかしこの作品も新型コロナの影響で2ケ月ほど放映できない状況に(再放送してた)。病気と戦うプリキュアがリアルで病気に負けたわけだ。緊急事態宣言が明けて復活後、ここからは濃ゆい展開が待っているのでは、という期待は裏切られ、縦糸となる物語のない、単話的なエピソードが淡々と続く、非常に淡泊なシリーズとなってしまった。物語の転換点だと思った追加戦士、キュアアースも、「生まれたときから何の情報もしがらみも因縁もない」ただの戦闘人形だったし…もちろん回を追うごとに教育されて人間らしくはなっていくけど、ただそれだけ。終盤の展開も、3幹部があっさり退場。ラスボスも力業で浄化。なんのひねりも感じない。なんだこれは。


各エピソードがつまらないわけではなかった。自分のやりたいことばかりやって本業のバトルがおろそかになりがちな最近の過去作と違い、病気との戦いが本業なので、バトルは毎回真剣だし、ドラマも悪くなかった。だけど、なんでこんなシリーズになってしまったのか。

理由はいろいろ思い浮かぶが、むしろ多すぎて決定打がわからない。

その第一候補はもちろん新型コロナ。1年間通して作品を続けられるか分からなくなり大きな物語作りをやめたのかもしれない。震災など社会不安が大きい時期は厳しいストーリー展開を控える傾向があると聞く。(例:スマイルプリキュア)病気との戦いというもともと厳しい設定の今作だが、本来進めようとしていた展開はよりえげつないもので、それをやめたのかもしれない。そもそも最近のプリキュアは、小さいお子様たちの理解力を気にして物語を進めるのを控え気味だとも聞く。はじめから面倒くさい展開はするつもりもなかったのかもしれない。あとは香村氏自身の問題か事情。基本的に特撮畑のひとなのでプリキュアの構成が他スタッフ等との連携や空気が合わずうまくできなかったのかもしれないし、新型コロナで当初の構成が不可能になってモチベーションがなくなってしまったのかもしれない。1年通したら翌年は仕込みで休むんだと思ってたけど今度のスーパー戦隊の新作、ゼンカイジャーの脚本にもガッツリ入ってますやん。ゼンカイジャーってスーパー戦隊45作めのお祭り作品だからさぞ腕がなるんでしょうけど、え?ひょっとしてそっちに集中しちゃってた?

このへんの内部事情はほとぼりの醒めた頃にどっかで知ることになるのかな。


さて。次回のプリキュアはトロピカル~ジュ?新型コロナの影響はまだまだ色濃いし、それこそ明るく楽しく(メイン視聴者にとってはいい意味で)内容が無い作品になりそうだ。脚本もプリキュア初参入のひとのようだし、期待をスター☆トゥインクルの前ぐらいに下げて観ていくことにしよう。