ごきんじょ冒険隊(SFC)

ときにはこういうホンワカしたのをプレイしたくなるんだよね。
期待以上に良かった。少し前で書いた個人的評価軸「「物語」と「音楽」」がしっかりできていて、難易度も優しい。

特筆すべきは世界観。ごきんじょの平和を維持するために冒険する幼児園児たちがかわいすぎる。育成パートの勉強時間が「数学」「英語」とかじゃなくて「おゆうぎ」「おはなし」「おひるね」。なんてうらやましい日常か。どんな場所にも迎えにきてくれるまどかママも、面と向かってはキツいこと言うけど陰で見守ってくれるお兄さんもいい。町全体が基本的にあたたかい。そりゃ相手が幼児だからな。

バトルもいい意味でおかしい。体力を回復するのに体力を使うあたりは馴染めなかったが、ゆずや執事が気まぐれに回復してくれるし、基本短期決戦&バトル毎の完全回復。なおかつ負けてもゲームオーバーにはならない。特訓して戦場に戻ってくる安心仕様。そしていつの間にか増えていたひっさつわざ「よいこホームラン」が強力すぎ。リピートお守りを付けてればもう一回わざ発動で、終盤でもザコキャラは1ターンで消えてくれる。

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よいこホームラン!

そういうホンワカなノリだけに、「恐怖・悪」というテイストをほんの一粒投入するだけでも効果は絶大。今作における真の敵は人々の心に潜む悪が具現化したもの、でいいのかな。人の心を乗っ取って操るのも不気味だが、別世界に閉じ込められ、家族から責められる「ぼうけんたいさいだいのきき」は相当怖かった。幼児にとって家族に見捨てられる恐怖とはこういうことかと。


そして、音楽だよな。
森彰彦氏は「ミスティックアーク」でその力量は知っていたのだが、最近「制服伝説 プリティ・ファイター」を聴いてもっとケバケバしい曲の方が持ち味では、と見直していたところだ。当作でその認識に対して確信が増した。さまざまなジャンルのべたな曲の散らばり具合がすごい。演歌とか。もっとも有名なのがジャズな戦闘曲ね。

ノリも良くて格好いい。いつまでも聴いていられる。(さらにボス曲→ラスボス曲とランクアップしていくと、「ミスティックアーク」っぽい荘厳な曲調になっていく…。幼稚園児のバトルでだよ?)


しかし、自分が好きなのは、そんなべたでにぎやかな音楽のなかで唯一、シンプルにしんみり染みる曲。…そもそもタイトル知らないし、YOUTUBEでも見つからないのが勿体ないのだが。「ぼうけんたいさいだいのきき」の危機が去った後にこれが流れた時は鳥肌ものでしたわ。終盤になると、この曲の出番が増えてくるんだよね。エンディングもこの曲。

そしてラストは「渚のプリティエンジェル」

昭和アイドル感がすごい。イントロのインパクトが素敵。

 

さて。このタイトルはゲーム開発と合わせてキャラデザインを担当した漫画家によるコミック作品もある。


購入した。

ゲーム開発と並行しての連載だそうで、キャラクターとおおまかな世界観は同じだが内容は違う。デビルマン(コミックVSアニメ)パターン。だが、あそこまで極端な違いはないな。
ご近所を救うのではなく、もっと園児らしく「不思議な回覧板」に導かれてご近所を冒険する物語となっている。プレイされる無味無臭な主体である「ゲームの主人公」ではなく、まなのキャラがしっかり確立しているのがうれしい。ゲームと違いわりと財布にやさしい値段であるので買ってよし。これもこれでオススメできる。