聖剣伝説3(SFC/SW)

「このゲームを3Dしたら?」通常「2Dゲームの3D化」といえば、前作「聖剣伝説2」のような箱庭スタイルの、フィールド見下ろし型になる。これならオリジナルと比べてもゲーム性が損なわれることなく、楽しめる。前作、聖剣伝説2リメイクがそんな感じ。

しかし今作は見下ろし型ではなく、TPS(?)というか背中越しに見るタイプ。没入感は深いが、ゲーム性など、ほとんど別物にしないと成り立ちにくく、実際今作はフィールド・ダンジョンの構成もガラリと変わっていた。しかし、キャラクターやデザイン、音楽といったもともとしっかりと確立されていた世界観の再現に尽力することで「同じゲームの、ほぼ完璧な立体化」を感じることができた。開発側のセンスと配慮には全面的に感謝です。
そしてその違いを新旧同時に味わう。これほど理想的なザッピングプレイはないですよ。
さてまず。SFCタイトルはリアルタイムでプレイ済み。シャルロットが主人公で、リース、アンジェラが仲間という女の子チームだったはず。今作も思い出踏襲で同じメンバー。華やかなチームなによりだが、特筆すべきはシャルロット。でち語といい「あんたしゃん」的な物言いといい、こんな主人公キャラ滅多にいない。バトルは回復主体で時間ばかりかかるが、それでいい。デザイン的にはSFCがベストだが、SWITCH版でも頑張ってるし、何より声がイメージ通り。どちらも良きかな。

 

音楽も、アレンジ控え目なのがありがたい。もっともこれはこれで「変わり映えしない」「とはいえでもところどころの変更点が気になりがち」という微妙な不満が出てくるのだが、ファイナルアンサーとしてオリジナル音源に変更可能だから文句のつけようがない。

そして今作の曲は名曲揃い。そのなかでも、とりわけ個人的なお気に入りは3曲。

■ Meridian Child

言わずと知れた、プロローグ後に挿入される真オープニング。不幸に見舞われた主人公たちが決意をもって立ち上がり、長い冒険に旅立つ覚悟を秘めた曲。なぜ東京五輪の入場行進で使われなかったのか、不満な自分だ。(ちょいと悲壮感が強すぎた?)

■ Delicate Affection
これは映像と共に楽しみたい。まずはSFC版で。

目の前のマナの大樹と世界各所に散らばったマナストーンが映し出され、やさしさに包まれたメロディで始まる。しかし途中でやさしいながらも憂いと不安が混じった曲調に変わり、溜めて溜めて極まった先、ついに幹に突き刺さったマナの剣が宙に浮き、主人公の手中に。やさしさと不安と、そして覚悟を手に、剣を掲げる主人公!実際のところ、ストーリー自体はほとんど覚えてなくても、このシーンだけはずっと心に残っていた。これがリメイクではどう表現されるのか、とても楽しみにプレイしてきたんだよ。…それがだよ?
リメイク版ではこの作品最大の改悪をやらかす。単に念じただけで、あっさりとマナの剣が宙に浮き、ほとんど序盤のメロディのところで剣をゲット。そのあとフェアリーがさらわれるシーンが挿入されて…それだけ?ポーズかけてなければここでしか流れない名曲のクライマックスが、まったく聴けないまま終わっちゃいますよ????それでいいの?本当にいいの?

世界各所のマナストーンをムービーで表示させるのと、ポリゴンキャラと音楽を同期させるのは技術的に難しいんだろうなとか慮りはすれども、これはないですよ!!!他の部分の出来が良いだけにがっかりもひとしお。
悔しいので、せめて有志が合成して作った、原作らしく調整したムービーでも見て己れを慰めるしかない…。

Farewell Song
そんな、27年経っても忘れなかったマナの剣ゲット後の展開は全然覚えておらず。ただ8体の神獣を倒しまくるってだけなので、そりゃ忘れるよなと。バリエーション豊かな神獣たちとのバトルは、そりゃ派手ではあったけどね。

メインのエンディング曲も、あまり印象に残らないのだけど、ラストで流れるこの曲、生まれ変わったマナのやさしさと別れ、そして遠い未来への希望を唄うこの曲も大好きで。

そういえば、これらの曲のために楽譜集も買ってあるんだよ。弾けないのに。どれだけ好きなんだか。

 

↑ちなみに定価は2,060円。今アマゾンで買うと6,523円か…。

CDももちろんいろいろ買ってある。

↓オーケストラは主に「Meridian Child」狙い。それぞれ良いことは良いが、それでも原曲以上と思えたものにはまだ出会っていない。