オホーツクに消ゆ(PC88/FC)

www.amusement-center.com

オホーツクに消ゆ

オホーツクに消ゆ

  • 発売日: 1987/06/27
  • メディア: Video Game
 

ゲーム業界のレジェンド、堀井雄二作推理アドベンチャーゲーム
初プレイ。ほぼ同時期の作品「軽井沢誘拐案内」の方は自分当時プレイ。その時こそ好印象だったが、先日プレイしなおしたところ印象ガタ落ち。楽屋落ち的展開が「軽井沢」の世界観を著しく損ねていたと思うのよね。

さて。今回も最近のパターンどおり、ザッピングでプレイ。というか、ふたつのゲームを切り替えるのではなく、そのまま横に並べてプレイというスタイル。これは初めて。没入感的には✖なのだけど、比較しながらプレイという点ではこちらがガチ。リアルタッチなPC88版と『べーしっ君荒井清和氏によるヘボい絵柄のFC版を見比べながらのプレイは楽しかった。

(左がPC88版。右がFC版。荒井清和氏の絵柄史上最高に格好いいと思う猿渡刑事。)

また、移植版とはいえこの2機種は展開が微妙に違うという話は聞いていたので、その辺の細かい違いを比べるにも良かった。

さて。クリアしての感想だが。うーん。
まず世界観の破綻がなかったのは良し。軽井沢を見てなかったら当たり前だと思うところだけど。思った以上に時間引き延ばしがキツく。

思い返してみたら、そもそもアドベンチャーゲームをワード入力からコマンド選択型にした元祖が堀井雄二だと言われているんだよな。そういう記事は多いし、自分の実感でもそんな感じ。で、ワード入力型は「思いつきにくい」単語を入力しないと先に進めないようにしておけば、簡単にプレイ時間の引き延ばしはできるが、コマンド選択はそういうことができないから、一見簡単にクリアできちゃうように見える。だからコマンド選択型を発明した、ということは時間引き延ばしのノウハウも最初に考案した、ってことなのだろう。しかし。PC88版の「ニポポ人形を取ったら、ハマってしまってそれ以降はクリアできない」は最凶だったが、FC版の(ちょっとした暇つぶしの)トランプで遊ぶコマンドでゲームに勝たないと、あるいは一回ゲームを止めないと先に進めないってのも酷い仕様。早めにそういう空気を感じたので、詰まりそうになったらすぐ攻略サイトを見るようにしてたのだが、終盤に「ひととおりのメッセージをみないと先に進めない」関所が用意してあって、途中をすっとばしてたらPC88版は最後の死体が、FC版はあの人の意識が回復せずラスト目前でひたすら焦る結果になったのだった。

なお、ストーリーの展開自体はそつがない。連続殺人を追っていくうち、一度「ニセの」事件を解決する脇道をクリア。その後全体のネタ晴らしがあってクライマックス。ただ、今見ると良くある話なので驚きには欠ける。そこは古典たる弱みだろう。フォロワーに真似されまくっちゃうからね。それとひとつ気になったのが終盤に出てくる「ダンジョン」探索と犯人とのバトル。このパターンは「軽井沢誘拐案内」でも出てきたけど、ダンジョンはとって付けた感ありありだし、バトルは見てるだけで物足りなく。軽井沢ではバトルがRPG仕立てになっていたことがあり、このあたりが堀井雄二アドベンチャーゲームとの相性の限界ってところだったのだろうね。RPGにうまく移行できたのも、今見直してみると必然でしたな。

さて、これでようやく準備が整ったので、長らく積みにしていた「偽りの黒真珠」がプレイできる。荒井清和氏の絵柄を持ちいた「オホーツク」オマージュのこの作品。当時のような時間稼ぎテクニックでうんざりさせられるのか(というかこの手法がまだ受け入れられると思っているのか?)美味しいところだけをうまく持ってきて楽しませてくれるのか。期待したい。

伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠|オンラインコード版

伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠|オンラインコード版

  • 発売日: 2019/05/30
  • メディア: Software Download
 
べーしっ君 完全版 (立東舎)

べーしっ君 完全版 (立東舎)

  • 作者:荒井 清和
  • 発売日: 2016/07/25
  • メディア: コミック
 

※オホーツク終盤へのカメオ参加が嬉しいべーしっ君(もちろんFC版のみ)