アドベンチャーゲームマラソン

長い休暇が取れた。とはいえ旅行にでも行けるような余裕はない。どうしたものかと考えた結果。定年後のお楽しみにとってあった過去のゲーム一気プレイを一度やってみようかと。題して「アドベンチャーゲームラソン」。プレイ後の感想を当時の思い出込みで書いていこう。

不思議の森のアドベンチャー(MZ-1200)

個人的にアドベンチャーゲーム振り返りといったらネコジャラ氏三部作は外せない。すでにエミュでの環境は確保していたが、今回はローマ字変換機能をアドインさせて長丁場プレイにも対応させた。便利になったな、おい。まずは「不思議の森のアドベンチャー」から。
リアルタイムではMZ-1200の頃に購入。WIKIには明記されてないけど、1983年頃なんだろうな。32年前か。ひゃあ。この前にも、「宝ビルアドベンチャー」とか買ってはいるが、謎、ボリュームともにこれがアドベンチャーゲームなんだ、と納得できた初めてのタイトル。今やり直してみると、不思議な森だけにいきあたりばったりではあるしわりと淡白な展開だけど、思い出補正は強いものよ。忘れてた謎解きもあったけど、数年前(10年ぐらい?)前にも一度プレイしてたので対応策も結構思い出せた。エミュにおけるセーブデータの仕様に慣れず、何度か最初からプレイさせられたが、よしとしよう。

タイムシークレット(MZ-700)

リアルタイムでプレイできなかったタイトル。思い返すと、MZ-700はタイムトンネル発売のタイミングにこの作品と一緒にパスカルII(当ゲームの発売元で、中古パソコンの販売も請け負っていた)から買ったんじゃなかったかな。しかし中途半端に欲張って廉価版PCG(ロータス製)付きのを選んだら対応しておらず、PCGのパーツを外そうとしてMZ-700の寿命を縮めたよな。
今やってみると、不思議の森からよりドラマティックになっているけれど、この後のタイムトンネルが凄いので、思い出補正を使っても霞んでしまった。まあ。各時代を歩き回り、強い武器をもって戦いに勝っていけばそのうち解けちゃう、みたいな淡白さというか。攻略サイト見ながらの急ぎプレイだったので、「なぜ自分はここでこういう解決ができたのか?」ってのが一部分らず。エメラルドがあそこに埋まってるのも、なぜ妖精が欲しかったのかもヒント不明なまま。そういうひらめきが必要だったのか。(実際当時はそういうのが多い)伝説になっている肝心のコールドスリープネタも、なぜこの人が?…X1版だと社のマークがしっかり出てるけどMZ版だとヒントがわかりづらい。いやはや。

タイムトンネル(MZ-700)

思い出補正がかかっているのは否定しないが。やっぱりこのタイトルは別格で。
時間を越えて様々な時代に行くというのは前作と同じだけど、「※※年頃のアジア」ではなく「(紫式部のいる)平安京」「(ベートーベンのいる)ウィーン」と世界観がはっきりしている各時代。時間移動と平行して、ダナーク星攻略&ベガサイドと地球を守る冒険を進める展開も飽きさせない。なによりユーザーインターフェイス周りが明らかに向上しており、快適にテンポよくプレイができる。本環境はテープ2本組み。肝心なところで長い読み込みがあるけどエミュだと一瞬だし。キャラグラだから絵はしょぼい。そのかわり描写スピードが一瞬で枚数も沢山稼げる。というのはネコジャラ氏3部作共通だけど、シンプルなままの不思議の森から、いろいろ試行錯誤してみたがどこか扱いづらいタイムシークレットを経て今作はひとつの完成形になっている。
「コマンド入力型アドベンチャー」がとっくの昔に絶滅している現在だから言える。すべてのタイトルを比較したわけじゃないけど、おそらくタイムトンネルこそが、このジャンルでの一番であると思うよ。たまたまこの時期にMZ-700を購入して、このゲームに巡りあえたのは自分のゲーム人生で一番の幸福だったと思う。

ワンダーハウス(MZ-700)

このゲームのヒントを求めて出した葉書がベーマガに掲載されたんだよな。「HOW DO YOU DO?」「I AM FINE THANK YOU.」のやつだったかな。そこでもらったヒントでも解決せず当時はそのまま放置。今に至る。再度チャレンジして、先の問題はピリオドが抜けてたのが問題ぽいことが分り、32年の時を経て、ついに2Fへと至る!しかし「壁の顔」の謎を越えたところで警報機に殺され終了。攻略サイトだとこの先があるのだけど、どういうこと?ということで今回もクリアはおあずけ。
前に進むだけでいちいち「FORWARD」と入力させる意地の悪さ。延々と続く似たようなグラフィック。ヒラメキ頼りの理不尽さ。今プレイすると腹立つばかりだけど、この頃のアドベンチャーなんて大抵こんなもん。

リ・バース(X1)

リアルタイムなプレイでは、ゲットしてその日のうちに解いてそれきり。だから印象レベルでしか記憶に残っていない。当時はX1版だったが、手元にないので今回はEGGのPC88版を、攻略サイトとつけ合わせながらプレイ。機種の違いはあまり感じられなかったけど、X1ではジョイスティック操作が出来たんじゃなかったかな。PC88じゃ、ないだろうけど。
こまめにセーブしていったが、枠が1コしかないので取り返しのつかない展開が多く、ラスト直前に最初から引き返させられたり。でも全体的に短いから許す。人気のない古城の満月の一夜が舞台。登場人物が少ないとっても小粒な作品。最後は神話規模の話になるけどね。ちなみに中盤から冒険を共にする少女との会話は、最初のシリアスな会話以後、ずっと主人公「わんわん」少女「にゃごにゃご」の掛け合いのみ。どうよこれ。かわいいけど。
発売タイミングと出来から考えるに「X1にカラーイメージボードとFM音源が出来たから、それらを使ってゲーム作ってよ」というオーダーで軽ーく作ってみたのだと思われる(邪推)。FM音源はOPとED、ゲーム中の3曲しかなく、プレイ中は同じ曲が淡々と流れっぱなし。絵柄もあまりうまいとは思えない。…って文にすると悪い印象になるけど、OP,ED曲はお気に入りだし、絵もぜひ原本を観てみたいぐらいには好きなんだよな。味わいがあって。

闇の血族(X68000)

いまだに手元にCM-64演奏環境があることに、感謝。やっぱりこのタイトルは美しい音楽があってこそだな。
リアルタイムにプレイしているが、前編・後編(完結編)を一気にプレイしたのは今回が初めて。前後でテイストが違うと思っていたけど通してみると舞台が違うだけでそうでもない。一貫はしてる。どっちにしても。ストーリーのボリュームに対して話がなげーよ!前編なんて後編プロローグデモのあらすじ(数行)の話しかないのに彼女の部屋のレイアウトなどの余計な独り語りをダラダラと…!後編も中盤まではメキシコ旅行ウンチクを延々と…!終盤のトンデモ展開は重いけどな。人知れず世界崩壊スケールのバトルが展開する様はリ・バースのようだ。それにしても。主人公はすごい力を秘めていて、最後にはその力がさらにすごいことになってるのだけど、この人自分語りに夢中で結局何にもしないんだよな。唯一の実行が前編最後で南米に行くことを決断するだけ。「謎めいた」立ち位置の雪原リーンさんがひとりで物語を始めて、そして終わらせるという。なんなんだ。
PCゲームが機能アップに合わせて肥大化していくなかで、文章を読ませることに重点を置いたノベルウェアというコンセプトは良かったと思うのだけど、今見るとバランスがやっぱり歪になってるかな。文章は読むひとの好きなペースで読むもの。映像は作り手任せ。映像メディアに文章を載せると、文章の読むペースを映像に合わせられてしまうので結構つらいことになる。今もって「読ませる」系アドベンチャーゲームの課題になってるよ。テンポは大事。はふ。ちょっとため息。(お約束)