GPD WIN2

まずはこのマシンを購入するに至った経緯から。
もともと小さいPC(UMPC)好きではある。昨年知り合いからGPD Pocket を教えてもらったときも購入ボタンを押す直前までは行った。が、ボタンは押せず。問題は今更UPMCを何に使う?という話だ。ネットを見たり、ちょっとした連絡をする、ぐらいならスマホで十分な時代。キーボードが使えないのは難だが、スマホフリック入力にもだいぶ慣れてしまった。外で作業するノートPCは会社から支給されてるしね。

それとは別にもうひとつの課題があった。最近めっきり新作ゲームが出なくなった。気づけばゲームもスマホがメインになってしまったのだ。昨年はたまたま3DS→SWITCH移行期間駆け込みで3DSゲームの発売が多発したが、その影響もあって、今年はまるで出てこない。となると。本当はあと10年…。定年後にとっておいたライフスタイルを始める時がきたようだ。それは過去のゲーム資産の活用。黎明期から貯めてきた、積みゲー、クリアしたけどもう一回プレイしたいタイトルが相当ある。これらを振り返り、一生遊びつくす余生。だが余生がきたとしてもだ。GBA→DS のモバイル体験に慣れてしまうと部屋に閉じこもってばかりのゲームは、もうあり得ない。部屋閉じ籠りだとしても、寝転がったり自由な体勢じゃないとイヤだ。イヤなのです。

GPD Pocket の情報を調べていたら、それら課題を一挙に解決する素敵なサムシングを見つけた。それがGPD WINだった。3DSLL サイズのWindowsマシンにジョイパットが付いている。それ、それ、それだよ!いいんだよこういうので。残る問題はマシンパワーと信頼性だな。PCでのゲーム利用は他の用途とは段違いに性能が高くないとダメなのだ。それに中国企業クラウドファンディング?怪しいと言わざるを得ない…。GPD Pocketの一世代前というのもな…。

そんな心配に苛まれる自分の背中をぐっと押すネタは割とすぐに来た。GPDWIN2発売のニュースだ。マシンパワーがなんと二倍!(値段も二倍!)発売前レポートを読むに前作の反省を活かし、相当レベルで使い物になっているらしい。最新の3Dゲームではさすがに苦しいそうだが、そんなのは当たり前だ。2Dのゲームが確実に動き。3Dでも初期のものならしっかり動く。これならもう買わない理由が…しかし今回結構良いお値段だぞ?金は?…まあいい。金はなんとかしよう。で、戸惑いながら購入ボタンを押したのが今年の2月。クラウドファウンディングで直接投資する方が安くて早く入手できるのは知っていたが、カードを使いたくない事情と、日本の販売代理店を挟んだ方が多少安心感あり、で天空に入金。5月あたりには納品されるような話だったので、4月までは意識外に追いやって済ました。が、テスト機での使用レポートがぼちぼち目に入るようになるとそわそわし出し。連休明けにはクラウドファウンディング組の入荷話が聞こえてきて、居ても立っても居られない状況に。そこからイベントの話に突入するわけだが(諸事情でボカシ)…と会って打合せをするたびに発送予定が遅れていく。なんでや。

結局現物が届いたのはマイバースデーだった。ここまでの展開は予想外。この日、世間的には休日だが普通に仕事を入れていたので、実際に箱を開けたのは帰宅後の深夜。バースデーもあと30分で終わるというタイミングだった。

そこで翌日あえて休みをとって環境整備。当たり前だがただのゲームパッドが付いたパソコンである。複数のわがままなエミュレーターを統一された使い勝手に調整するのが難。xinputの使えない古めのアプリはどうすんじゃ→Joytokey。縦横比率を保持したまま全画面には出来んのか→蜃気楼 、と解決策は把握していたが、実際の設定はそれなりに試行錯誤で。自由度が高い分、カスタマイズに手間がかかる。

届いた機種は思いのほかウイルス、コイル鳴きといった報告済みの不具合は皆無。SSD交換も試していない。代わりにSDカードは256GBの大容量にしている。重さは意外とずっしりくる。普通に使う分には問題にしないが、使用後、気づくと指に疲労を感じる。GPD WIN2のあとに3DS LL を持つとめっちゃ軽い。ポインティングは割と難あり。ジョイパットがマウス代わりに使えるが、スピード調整が難しく。タッチパネルも併用できるのは助かるが、これはこれで無意識に指が画面に触れての誤動作がしばしば(なのでタスクバーは上部に移動)。画面サイズも程良い具合ってのが難しい。思いっきり拡大(解像度を下げ)すると下の方に[OK]ボタンのあるウィンドウズを操作できない。親指操作のキーボードは慣れでなんとかなるが…ノンストレスに使いたいと思うなら結局モニタ、マウス、キーボードまとめて外部接続するのがベストということになる。もちろんそういう拡張性が用意されてるのもこの機種の特長でもあるのだが。

一方手軽さではどうしてもスマホに勝てない。スマホは自身でネットにアクセスできる利便性はもちろんだけど、アプリ起動や使い勝手のスマートさはPCとは比べ物にならない。サイズ、機動性、マシンパワーをここまで極めても勝てないとは、UMPCマーケットが死滅するわけだ。その代わり携帯ゲームマシンとしては素晴らしいの一言。環境整備には時間がかかったが(いろいろな意味で初心者にはお勧めしません)過去のゲームがこんなサイズ、こんなに気軽に遊べるのは素直に凄い。なお、安心して遊べるのはPS1まで。性能ギリギリでPS2,Wiiのゲームを楽しむのも楽しいが、むしろMZ700の素朴感あふれるゼビウススペースハリアーマッピーとかがDSライクな環境で遊べる方が何とも言えないギャップを感じて魅かれる。これは今のひとにいきなりプレイさせても分からないだろう。40年近くも昔に武骨な環境(曲面あふれるブラウン管、ジョイスティックすらないキーボード操作)を経験してきた歴史の重みが、この奇妙な感慨をもたらすのだ。