ハピネスチャージプリキュア

ハピネスチャージプリキュア! 【DVD】 Vol.1

ハピネスチャージプリキュア! 【DVD】 Vol.1

前作ドキプリは主人公、相田マナさんが最初っから最強ステータスであった点が、異色であった。今作の主人公、愛乃めぐみさんは愛を周りに振りまきたいという動機はマナさん同様なのだが、勉強がからっきしだったりと普通の人で、わりとありがちキャラ。となると想定できる展開は「マンネリ」か「王道」となる。中盤までは「マンネリ」だったかな。相方キュアプリンセスのマイナスな性格からの成長や、倒された姉のためにひとりで戦っていたキュアフォーチュンとの共闘にいたる流れ、プリキュハンターとの対決などいろいろな展開が仕込まれていたが、それほど注目するものでもなかったと思う。しかし終盤の幻影帝国突入あたりからは熱い展開に。失恋を乗り越えたり、洗脳された幼馴染誠司くんとの対峙のところは、めぐみさんの普通のひと故の迷いと成長が見えた。演出も秀逸で見ごたえがあったと思う。まさに王道!。さあ、このままの勢いで一年の物語を綺麗に終わらせることができるかという期待で観た今日の最終回。

皆の祈りで最強の力を得ためぐみさんは最終形態 フォーエバーラブリーとして覚醒。自分の星が滅んでしまった憎しみに燃えるラスボス・レッドさんに、愛を連呼しながらはりついた笑顔で畳み掛ける姿には正直なところひいた。失ったものは戻らないというレッドさんこそが正論で、それを抽象的な「愛」で押し切るのは宗教じみてるだろう。(同じく笑顔でラスボスを圧倒したマナさんには「誰もいなくなったらジコチューでいられない」という身も蓋もない正論で納得できたのと対照的だ。)ミラージュとの戦いは「恋敵」、誠司くんとの戦いは彼からの想いをどう受け止めるか、という自分自身の戦いでもあったけれど、ラストバトルはひとごとな感じ。無責任に愛を語るなよ、と。感情移入できなかった。三幹部が人間として復活とかのサービスはあったが、なんか惜しいラストだったな。
その他。
1.女の子メインのプリキュアシリーズでは味方側の男性キャラの扱いが非常にナーバスなところ。前作では同級生の男の子は脇役というよりモブキャラに近い扱いで、存在感のあった唯一の男性キャラ岡田さんも胡散臭いまま人畜無害で済ませている。今回は恋愛込みでかなり踏み込んだところで、それが作品の成否を分けたように思う。幼馴染&同級生の誠司くんは影ながらめぐみさんを支え、最後までいい人だったので洗脳されてすら共感できたし、終盤の盛り上げに貢献していた。一方で神様たるブルーは岡田さんの胡散臭さをそのまま最凶最悪にしたキャラクター。問題の発生からこじらせまで原因は全部こいつ。己れの恋愛の不始末から兄弟の諍いまでプリキュア任せ。全てが終わった後に登場していいところだけを持っていく。腹立たしいばかりなり。

2.たまたま昨日は仕事キュアプリンセスの声優、藩めぐみのお母さん、藩恵子の話を聞ける機会があった。娘がプリキュアの声優で、と誇らしげに語るのに好感。ブルースカイ王国が復活した際には藩恵子をお母さん役で出したら良かったのに。

3.終盤の必殺技「プリキュア イノセント プリフィケーション」(直訳:プリキュアの無垢なる浄化)。なぜここで歌う?という謎はともかくクセになるメロディーではある。曲名:イノセントハーモニー。

イノーセーンートー、イノーセーンートー。これも電波ソングの一種だろうか。
中盤の電波ソングキュアハニーの「おおもりごはん愛のうた」飯を食うこそが幸せ。有無を言わせぬ説得力。