トロピカル~ジュ!プリキュア

そこそこ長くプリキュアを観ていると、「敵との闘い」と「日常」とのバランス感が肝だということが分かってくいる。プリキュアの物語の立てつけはヒーローものなので、闘いこそがメイン、日常は添え物。しかしそこは幼女もの。闘いがシビアになりすぎると怖いし、複雑な物語にはついていけない。かといって日常を楽しむ部分がばかりになるとまるで物語が進まない。そういう調整を毎年見てきた気がする。昨年のヒーリングっとは闘いをメインにしようという気概を序盤では感じた。しかし新型コロナにその試みは挫かれ、なんとか体裁を整えて終わった感じ。引き続きコロナを引きずっての開始となった今作も厳しい日常を忘れられる、「楽しい」日常シーンにバランスを傾けた作風になるのは予想していたところ。なにしろ南国トロピカル。闘いのテーマだって「やる気」ですよ。愛とか夢とか自己実現とかはいろいろ深堀りできるけど、「やる気」で何を語れというのか?
そんな不安に対して、制作側が用意した変則技は、主役たる人魚だった。
もちろん表の主役はキュアサマーなのだが、このひと「今やるべきことやる」という、「今」を見る姿勢こそ素晴らしいが、将来の夢を全く描けない、プリンセスプリキュアの面々が見たら幻滅間違いなしのひとで。厳しい未来を思うよりまずは充実した今を刹那に楽しもうと考えれば今の時代に合っているのかもしれない(本当か?)というのはさておき、そういう最初から最後まで何の成長もしない舞台装置的な存在にしかなっていない。対して女王になる夢をきっかけに人間世界と交わり、憧れ、人間になり、プリキュアになり。見た目もどこか田舎のお嬢様(人魚)がそこそこ垢ぬけた都会のお嬢様になるとか、人魚の成長がこの作品の肝になっていた。ただ、どこか不自然な感じがあったのよね。彼女含めた書くキャラの成長の動きが、書かれてはいたけどどこか作りものっぽいというか。そんな感じでちと評価しづらいこの作品。

歌は良かったです。
まさにトロピカルテイストなOPに、前期後期のED、映画の主題歌まで(←観てないけど)わりとお気に入りの歌が多くて個人的にそこは満足。

次作のデリシャスパーティ♡プリキュアはすでに3話ぐらいまで来たのかな。
意外としっかり作ってあるように見える設定。感情移入できる誘導キャラのおかまさん。すごい期待はしてはいけない気もするが、今のところわりと楽しめている。500Kカロリーパンチはぐっとくるし(現実には30分走っても150Kカロリーぐらいしか消費できないぞ)ぶんどるぶんどる言う悪の組織も微笑ましい。