ラビリンスの彼方(3DS)

ラビリンスの彼方 - 3DS

ラビリンスの彼方 - 3DS

クリア。長かった。起動時間73時間。
昨年東京ゲームショウで試行したときはバトルのやり方がさっぱりわからず、購入して分かって以後も難易度の高さにヌルゲーマー的には非常に疲れ。一方ダンジョンは単調で長く、慎重に全回復しながら進めようと思うと何度も回復地点までユーターンさせられる。お勧めできるかというと、確実に人を選ぶのでおいそれとは紹介できない。だけど自分はこのゲームが気に入った。しばしば欠点と指摘される事項も含めひっくるめてきちんと完成されている、作家性の高い作品と思うから。

(以下ネタバレ注意。)

あまりに自然すぎるからかわざわざ言及する書き込みを見た覚えがないが、このゲームの視点、構図は結構複雑だ。構図を簡単に書くと、「ネットRPGをプレイしていたら、ゲームのダンジョン世界が別世界のラビリンスに繋がってしまい、そこで迷い込んでしまっていた少女の脱出を助けること。」なのだが。最初のゲーム世界も、繋がった先の別世界も、3DSでプレイする1人用ゲームとしてなんら違いはない。せいぜい画面が綺麗に、3Dになったぐらい。しかし「確かにその先はリアルな別世界だ」と感じさせる仕掛けとして「少女」が配置されている。声も姿も動作もすべてプレイヤー側には見えるが、少女にとってプレイヤーたちがどのように見えるかは示されず、こちらからの声は聞こえずコミュニケーションは不完全。問いかけができないので、こちらからは彼女の名前を聞くこともできないし、ここがどういう世界かも良くわからない。彼女は彼女の都合で彼女が言うべきと思ったことだけを言う。そして一緒に行動はするが、彼女を動かすコマンドはない。彼女はあくまでもあちらの世界の自律した存在、というわけだ。
加えて別世界に繋がっている自分以外の3人の存在も面白い。実際のところ、彼らももちろん1人用ゲームにおけるNPCでしかないのだが、我々現実側の人間として、たわいない雑談を交えつつ、不明な少女の世界をプレイヤーの代わりに類推してくれる。しかし、この3人にしたところで本当の名前すらわからない。顔もわからない。あくまでも会話のなかで人間性が見えてくるのみ。それぞれが不明なところはそのまま、わかっているところで共感し、仲間として冒険していく、こういう凝った多重構造による体験は、おそらくこのゲームでしか味わえないだろう。

ラストの引き際も、この作品ならでは。もう一度最初からプレイする気力は当分湧かないと思うが、美しい迷宮、音楽とあわせ、自分の記憶には長く残るだろう。

ラビリンスの彼方 オリジナルサウンドトラック

ラビリンスの彼方 オリジナルサウンドトラック

当然サントラも購入。というかメーカー直販でARカレンダーも込みのを買った。で、このARカレンダーが使えるようになるまでが長く。そして使えるタイミングが限られているため、いつも使えるわけではないという厳しい仕様。これも作品の世界観的にはきちんと作りこまれているのが憎いところ。