2009年


社内報で「今年を表すの漢字1文字を書いてくれ」と言われ、「予」と書いた。来年はもっといろいろありそうですね、予兆を感じます、ぐらいの意味なのだが、本心としてはそんなあやふやではなかった。もっと確たる言葉。自分がもともと考えていた今年の1文字は「死」だった。こんなの社内報じゃ書けない(^^;)

有名人で、自分にとって影響のあった人たちの死が今年は多かった。気が付いたらリストに入れておいたのだけど。クロード・レヴィ=ストロース、デイヴィッド・エディングス、栗本薫マイケル・ジャクソン忌野清志郎加藤和彦三木たかし三遊亭圓楽清水由貴子大原麗子南田洋子、森繁 久彌、山城新伍金田伊功金大中細川隆一郎臼井儀人盧武鉉中川昭一江畑謙介

趣味や思想として己れの血肉になったひとや、単にお茶の間で親しんだレベルの人物もいるが、実感として自分に近しい印象のひとが多くなっている。2000年代に入ってもう10年。次の時代、2010年代に行けないひとが選別された感もあるが、別の視点で言うと、単に自分自身が老いてそういう機会が増え始めたということでもあるのだろう。

40歳は30歳に比べ大きく変わった印象は薄い。が、ひしひしとした実感はある。かつて、ニフティサーブでずばり「人生後半戦フォーラム」がオープンしたとき、自分はまだ20代後半だったかな。企画者の言う「40歳からは人生の後半戦なんですよ」のフレーズについて「そんなものか」という程度の感想だったけれど、今の心情はまさにそれ。昨年は結婚もしたし、これからどうやって晩年への、死への道筋を作っていくか、常に心の片隅で意識するようになった。親しんできた有名人、だけでは済まない。これからは親の世代が、そして自分たちの世代が亡くなっていく悲しみに直面する機会が確実に増えていくのだ。

日本社会を見ても、「死」は目前だ。自民党政権がこのまま続いたとして、日本の死は着実に進んでたという認識は間違っていないと思う。しかし民主党という素人集団への政権交代は(遠い将来により良い社会に変革する可能性を否定はしないが)直近では確実に日本を危機に落とし込む。そう思っていたし、思いのほか早いペースで実現されつつある。「これまで長く続いた古いものを終わらせれば、新しくできたものはより素晴らしいに違いない」などと、若い頃は楽天的な革命志向もあったが、実はその瞬間こそ最大の危機だということ。いくつもの歴史の教訓にあるとおりだ。今回も「我らに国民の支持あり」といいつつ、民主党独裁体制に向かいそうな風向きが非常に危なっかしい。来年の参議院選挙で民主党が独自に過半数をもったとしたら…もう怖くて想像もつかない。己れの予想、史観が外れ日本の将来が明るくなるよう祈るしかない。どのみち「国民の選択」の結果は何が正しかったのかは別として平等に受けねばならないのだ。

ごく個人的には。こういう状況でなんとか今年も良くもった。来年も無事であることを祈りたい。