シアトル日記(その5)

6日目

午前はケーブルテレビを見つつ姉と談話。日本のニュースは主に朝の6-7時頃しかなく(一番良さげな時間帯はやっぱりニューヨーク時間に合わせてあるらしい)キッズ系の、トイザらスで見たDORA THE EXPLORE や、Sponge Bob などを見ていた。興味深かったのが、米国のディズニーのラインナップがこちらのイメージとはだいぶ異なること。なんかディズニーっぽくない。変な歌のおにいさんたちがいたり、絵柄とかもなんか違う。日本に輸入されているのは、ある程度文化フィルターを通した日本人好みのディズニーなのだと理解。
さて、この午後からはガイド付き旅行2日めである。ガイドさんの車に乗って、シアトルに。

アンダーグラウンド

あいにくこの日は雨だった。というより、ここまで雨が少なかったのは幸運だったのだが。
車で最初に行ったのはアンダーグラウンド。シアトルは一度作った街をさらに埋めたててその上に現在の街があるのだが、地下に残った過去の面影を見に行くツアーである。ガイドさん曰く「つまんないですよ。こんなの見る日本人なんていませんよ。」おかしいなぁ。ガイドブック2、3冊読んだけど、どれにも必ず書いてあるのに。
現在のシアトル発祥の地、パイオニア・スクエアの一角のビルの中がスタート地点。シールを胸に貼り付けて、地元の有名ご先祖と思われる肖像画がたくさんかけてある古い部屋に入る。自分らも含め約50人ほど(ほぼMAX)の客が集まったが、たしかに日本人は自分らしかいない。ツアーガイドのお姉ちゃん・・おばさん?はスラリ&ちょっとがっしりな体型で眼鏡。大学の研究員とでもいった感じだろうか。ベラベラベラベラしゃべる。昨日のボーイングのツアーガイドもそうだったが、こちらの方が遥かに。息もつかずにまくしたてるので、頭の中で翻訳する以前に単語の区切れさえわからない始末。呼吸のタイミングがわからず聞いてるだけでこっちが息苦しくなってくる。しかも長い。30分以上その部屋で話し、ようやく済んでツアーだ!と思いきや、この演説は道中も及んだ。
雨の11月。そして地下。かなり寒い。しかも客が多くて進行が遅い!ガイドさんの通訳もほんとうに掻い摘んだもので、実のところちょっとうんざりしていた。とはいえ来た意味は大アリで。シアトルの町の歴史がざっとわかったので確かに勉強にはなった。ネイティブの酋長、チーフシアトルの協力あって生まれた街。ゴールドラッシュでカナダへ向かう人々の経由地として発展した街。そしては今ではスターバックスマイクロソフトの街、シアトル。(今の日本人にとってはイチロー任天堂の街、でもあるか。)

パイク・プレイス・マーケット

そのあと車で観光名所、パイク・プレイス・マーケットに向かう。市場の向こうはすぐ海。ちょうど雨も止んでなかなか良い景色。路面付近の店は食べ物系が多い。そして国際色豊か、とりあえず昼飯がわりにピロシキをほうばりつつ歩くと、意外とはやくスタバ一号店に出くわした。中はいかにも日本人な店員が2名ほど。ガイドブックにもあったけど日本人店員常駐は事実だったのだ。で、まずはおみやげにオリジナルブレンドの豆と、1号店オリジナルのカップのみ購入。飲みにくるのは後にしよう。
海沿いの建物に入り奥へといくと売リ物は雑貨が中心になる、といっても古物めいたのが多くあんまり実用的なのは少ない。こちらも各国入り乱れ。エジプトあり。中国あり。トルコあり。タイあり。ネイティブあり。個人的にはまったのはやはり己れの趣味系ショップ。ひとつはスターウォーズのレアグッズ各種と、なぜか日本の兜とか掛け軸が一緒に扱われてる店。(写真を撮るなら1$払えときたもんだ。えぇ、払いましたとも)それとアメコミ系ショップ。もちろん日本の漫画やゲームなども満載。ここで改めてバットマントランスフォーマーなど、トイザらスで買えなかったおみやげフィギュアを探すが、やはり全滅。店員を呼んでみてもらったがダメだった。
そろそろ次のセーフコ・フィールドのツアーに行く時間が近づいてきた。余裕をもっていたつもりだったけど、ここで変な閃きが。「あの長い注文、そうだ。ここですればいいんだ!」

スターバックス1号店

10日ほど前、我らが(?)デイリーポータルZの2005/10/21 掲載のコネタに「スタバで出来るだけややこしい注文をためす」という記事が掲載されていた。メニューからもっともややこしい組み合わせを作って究極の長さのオーダーをするという迷惑な企画だ。せっかく本場に行くのだからぜひ試したい、と記事をプリントアウトして持ってきていた。考えてみれば1号店は日本人スタッフが常駐しているので、比較的簡単にお願いできるのでは??ということで急遽ガイドさんに相談。時間が微妙になってきていたが・・・「わかりました。では車を近くまで持ってきますのでお早めに」
中に入ると、若干メンツが変わっていたが、日本人女性2名らが待機。お客が少ないのを確かめて早速レジに。
「すみません。日本のあるサイトでスタバで最も長い注文を、って企画がありまして。」店員さん、プリントアウトした記事をさらっと読んで笑う。「これ、本場でもぜひと思いまして。」「いいですよ。」快諾。ありがたい。記事内の注文例を検証。一部この時期販売していないソースがあったようだが、次に長めのものをチョイスしてもらい、早速作成に。(記事のプリントアウトは参考までに差し上げた。「また同じようなオーダーが来るかもしれませんよ」と言っておいたがさすがにそれはないか。)このあたりで客がゾロゾロ入ってきて背後にプレッシャーがかかるが、しばらくして男の店員(このひとは西洋系)が出来あがったのをもってきた。名前を読んでくれるが途中で面倒くさくなって後半は適当。相当デカイカップに甘ったるい飲み物の出来上がり。ともかくそれを手にとると一目散に店を出た。
道は少々混んでいたが、いい位置に車が待っていた。「すみません。」といいつつ乗り込む。気持ち早めに次の目的地に向かう車のなかで、ようやく飲んだ。うーん。飲めなくもないけどクスリっぽい甘さ。

セーフコ・フィールド

車は通りを真っ直ぐ南に、ビルの密集地を抜けた外れにセーフコ・フィールドはあった。
シアトルの景観としてはスペースニードルの次に目立つ建物だろう。スタジアム外の巨大な壁には選手たちの顔写真があった。が、急いでいるのでそのままおみやげ屋に。
ガイドさんがおみやげ屋に質問。「ツアーはすでに始まってますが、間に合うようです」エレベーターを登ったところでツアーの一群に合流した。
これまたツアーガイドは太っちょの中年おやじ。ボーイングのときのガイドはいかにも工場にいそうだったがこちらもどこかの野球チームの監督でもしていそうな貫禄。ツアーのメンツは10人ぐらいで日本人カップルと、野球少年とその父親なんてのもいた。程よい解説を聴きながら球場を巡る。バックネット観客スタンドから一望したあとはマスコミ詰め所→オーナーなどVIP席(任天堂山内氏写真あり。)→選手の控え室。トレーニングルームにゲスト用ロッカールーム(マリナーズ選手の方は私物が残されたりするので入れず)→テレビでよく見かけるインタビューの部屋。(ちょっと座ってみた。)→そしてグラウンド。調整中にて芝生には入れなかったが、ベンチに入りこれまたイチローの良くいる(らしい)席に座る。最後にもう一回球場の上に登り、屋根の動く様を見る。電車のようにレールの上を動いてるのか。だいぶ晴れてきたので景色が素晴らしい。隣のフットボールスタジアムと街全景。
ツアーが終わってちょっとだけおみやげ屋を覗く。Tシャツはすでに姉家族からもらったことがあるし、何も買わなかったが、ご当地キティがここにもあるのにはワラタ。

航空博物館

どことなく空が夕方めいてきたが、最後の目的地、航空博物館に向かう。シアトルを出てちょっと南、明日また来る空港の近くなので急に旅の終盤を感じた。
外はもちろん、中はさまざまな飛行機で一杯で、一日かけてじっくり見てもよさそうだがあいにく時間がない。それぞれの飛行機はざっと一望して済ませ、館内を巡回。と、入り口入ってちょっとのところに体感ゲームらしきもの発見!箱に入って、操縦に合わせて動くタイプだ!これはやるしか!ところが係のひとは言うのだ「これはふたり乗りです」。同行のガイドさんはこの手のものが苦手のようで嫌がってるのが手に取るようにわかったが、そこはお願い。もっと動く体感ゲームにも乗ったことあるが、これは記念ということでひとつ。それより興味深かったのが館の反対側にある別の機械(4Dシアター)。こちらは操縦しないで勝手に動くデモを体感するだけだが、そのデモでの敵が日本。硫黄島(Iwo sima)なる舞台で米国軍側の戦闘機に乗って・・とかいうもの。ゲームでのそういったのがあると聞いていたのでショックではないけど感慨は深い。その後アポロ探査車の模型とか、空港の管制塔とか、そういったものを見終わって帰ろうと思いつつふと横をみるとボーイング社の特別展示が隣の部屋(?)にあった。ちょっと覗いて・・と思ったらこれまた沢山の展示品に溺れ、暗くなった外を思って展示場を出る。おみやげ屋では飛行機の模型など魅力一杯。いくつか購入。

☆ それから

すっかり暗くなった道。シアトルの夜景を見ながらベルビューに戻る。途中、最後のお願いで近くのファクトリアモールに寄ってもらう。会社の同僚からのみやげ依頼の香水がこれまでどうしても見つからなかったのだけど(だいたいどこにあるか見当つかなくて)でも考えてみれば化粧品コーナーにあるのだな。そろそろ閉店ってタイミングだったがなんとかゲット。そして姉宅へ。最後に2日間お世話になったガイドさんにチップ(相場がわからないながらちょっとプラス)。だいぶ無理や迷惑をかけてしまったと自覚していたが、そういうときこの慣習は確かにありがたい。
帰宅してから帰国の準備。姪たちと記念撮影して別れを惜しんだ。
夜はちょっと寝付けず。部屋の本棚にある「住友グループ」の本をちょっと読む。人に歴史あり。会社にも歴史あり・・・ってあんまりこの旅には関係ないな。

7日目

朝、出発前に義兄が二人の姪と一緒に散歩に連れてってくれた。家からちょっと道を逸れたところの遊歩道だが、まさに山道。日本みたいに過保護じゃないのでこちらも柵があまりなし。一日がかりで歩ける長さらしいが、もちろん途中でリタイア。時間ないしね。雨で濡れた木々に土。この時期のシアトルはずっとそう。
家族揃って見送りに付き合ってもらう。昨日通った道を車で。道中改めて景色をまぶたに焼き付ける。タコマ空港に入り、カウンターでチケットを渡す。以前インドに行ったときだいぶ注意したリコンファームは不要らしかったがちょっと不安。まぁでも問題なし。荷物をチェックするところで姉たちとお別れ。手を振って中に入る。少し道に迷ったが、ほどなくハングルな地下鉄に乗り、搭乗口付近へ。途中おみやげ屋がいくつかあったので立ち寄る。スペースニードルの置物とか、サーモンの缶詰とか買ったかな。まだバーガーキングがあったので、目一杯大きいのを買い向かいのシアトルズベストでコーヒーを飲みつつほおばる。(この辺から日本人とかアジア系の人間が増えてきてちょっと気になる。)飛行機内は行きと同じ窓側。だが今度の隣の日本人のおじさんはたまに離席してくれたのでトイレにも行けた。帰りは気流の関係(?)で行きより1時間多くの9時間。ずっと夜だった行きの反対でずっと昼のまま雲の上を飛び続け。ずっと席で現在位置を確認し続けるのも飽きるので、そのモニターで映画を見ることにする。行きにもあったタイトル。姉宅でもちょっとだけDVDで見てたので続きはこちらで、と予定していた・・・