『特捜戦隊デカレンジャー』20周年作品上映決定について思う。

長いスーパー戦隊の歴史の中でもデカレンジャーは割と特殊な立ち位置にいる。
一年を通して戦い続ける組織は存在せず、毎話犯罪者と戦う刑事ドラマの体であり彼らの戦いに終わりはない。自分はフラッシュマンあたりで止まっていたシリーズの視聴をこの作品から復活させたので、個人的にも特別な作品だ。

しかし、特別なところは他にもあった。それは作品が終了してからのこと。当時の役者たちが良い演技をしていたので、彼らのうち何人かは役者として大成するのではという自分の期待はまもなく裏切られた。もちろんそこそこの作品には出ていたりするのだが、シンケンジャー松坂桃李、トッキュウジャーの志尊淳、横浜流星などのブレイクには遠く及ばず。デカレッドの載寧龍二は広島に戻ってしまう。かといって、彼らが全員引退したかというと、…詳しく追ってはいないので微妙なところもあるけれど半分引退しているようなメンバーはいても消息不明というわけでもなく、ともあれ10年後にめでたく新作ドラマが作られた。でもこれってブレイクした役者がいないから出来ることなんだよな。と、なんか少し悲しい気持ちにもなったものだ。シンケンジャーやトッキュウジャーも名作ではあったが、新作の話など出てきませんよ。

今回20周年ドラマが作られるということで、また10年前の少し悲しい気持ちが甦るのかと思いつつ発表会を観た。のだが、…いや。デカブレイク役の吉田友一氏のプレゼンを観ていて気持ちが変わった。この20周年作品、ひょっとして東映主導というよりキャスト自身がけん引してないか?高知市の職員となった吉田氏が高知市地域活性化という取り組みとして東映と高知を説得した話を聞いて、彼らのデカレンジャーへの愛と、フリーとして自ら道を切り開く逞しさを感じた。『特捜戦隊デカレンジャー』はそういう意味でも唯一無二のスーパー戦隊なんだな。