機界戦隊ゼンカイジャー

45作めで過去作との関連があると聞いて、当初はゴーカイジャー的なレジェンド展開を期待していたが、そこはあっさり裏切られた。当時の役者を呼んでくるのは相当大変なことのようで、つくづくゴーカイジャーは奇跡的な巡りあわせで作られた作品だったのだな。今作における過去作からの引用は基本的にギアを使った技のみ。空を飛ぶ単純なもの(ジュウオウジャー)から芝居空間に引き込まれる風変りなもの(ジェットマン)まで様々で。不運な死を遂げた戦士ネタには本当に驚かされた。イエローフォー!こういうかたちでネタを仕込むというやり方もありなのだな。

こんなことができたのも、「全力でふざける」ゼンカイ脳な世界観設定があってこそ。脚本の香村さんも頑張った。これまではシリーズ担当でも一部のここぞというところでしか書いていなかったのに、まさかほぼ全話書いてしまうとは。公式ブログを読むとネタはスタッフ総出で考えたようだから、彼女の役目は話をまとめるだけで済んだのがよかったのかもしれない。(ネタがカオスだからまとめること自体しんどいとも言える。)縦軸が薄いが、各話の馬鹿話で十分楽しめたのもよかったのだろう。ルパパトでは「こんな話はいいから縦軸薦めろよ!」と思っていたものだけど。

キャストの話としては。まず主役の五色田介人のどっしりと安定した役。そこに、かわいい女性にしか見えないステイシーあり。(女装回を期待した声もあったかもしれないが、このひとが女装するとかえってはまりすぎて面白くないのでは?)素の天然が透けてみえるヨホホイさんあり。(あれほど間抜けな変身ダンスが格好良く見えるのは、すらりとしたスタイルと磨き抜かれたダンス技術によるものでは?)この三人が話の軸になっていたのはいい。が、その割を食ったのが4人のキカイノイドの皆さん。香村メソッドでしっかりキャラ立てできていたので空気にはならなかったものの、もうちょっと活躍の場を見せてほしかった。そんななかでもマジーヌさんは素晴らしかったことですよ。あんな無表情な能面なのに、声優さんとアクターさんの二人で見事に素敵なキャラに。#映えマジーヌも楽しんできたが、週プレでグラビアになるとのこと。これは買うしかないのか?(狂)

音楽の面は。渡辺宙明氏の曲が昭和特撮感ゼンカイで大満足。ただ、曲の数自体はかなり少ないイメージ。いや、曲自体は結構あるのだけど、少ないメロディのアレンジで使いまわし。往年の名作曲者が去っていくなか、新作で魅せてくれたこと。それは感謝しなくてはいけないか。

歌では、主題歌もいいけど個人的にはこちら。

ゴレンジャーOPと同じ、渡辺宙明+ささきいさお+堀江美都子ってなにそのミラクル。

2021年はこの作品で乗り切った。ありがとうゼンカイジャー。次作ドンブラザーズもさらにチャレンジングが続くようだが脚本:井上俊樹が最も心配であり期待であることよ。