映画プリキュアオールスターズF

観るにしても後でビデオかな、と思っていたのだが、ネットの評価が異常に高いのをみて急遽思い立ち映画館へ。夜の最終だったので大人しかいなかったかな。(あ、幼女一人見かけた)

結論から先に書くと、素晴らしい。このシリーズを見続けた人への最高の贈り物だと思った。かといってプリキュアを知らないひとが観てもつまらない、ってことにはならないと思う。物語には短いなりに芯の通ったストーリーがあり、そこでプリキュアはどういう存在なのか、何がいいのか、というシリーズの根幹、本質をしっかり紹介してくれるのだから。

しかし、今回のオーダーは20年見続けたファンへのサービス。ネタをだらだら垂れ流すのではなく、濃淡つけて取捨選択して、短くまとめるこの神業よ。

最初は濃く。現タイトルのキャラ4人を分けて4チームに。そこに直近9作のタイトルからゲストを振り分ける。直近過去3作からは2人づつ。それ以降は1人づつ。掛け合いが面白くなるチーム分けをして。冒険の旅でクロスオーバーした彼女たち(ひとりだけ彼)の日常(?)会話を楽しむ。
現作ひろがるスカイの主人公ソラのチームには直近2作品の主人公が付くのだけど、3人とも脳筋キャラで相性がとても良いのがお気に入り。

もろもろあって物語の核となるシーンでは過去全作から名シーンが思い出としてプレイバック。単に再現されるだけでなく、その中から各プリキュアたちの記憶や、本人たちが復活。お祭りだからといったご都合とってつけたシーンでなく、物語の必然的な仕掛けになっているのが上手い。幼女の皆さまがミラクルライトを振りまくるのもおそらくここかな(今回は観る機会がなかったが)。涙出た。自分はプリキュアファンとしてはあまちょろだが、筋金入りな方々なら涙腺ダダ洩れだったろう。

クライマックスのバトルシーンは大盤振る舞い。HUGでもスぺシャルな話としてそういうシーンは出てきたが、今回においてもテーマが被っていたり、こういうキャラ同士の技や掛け合いが観てみたいという妄想を叶えるサービスがてんこ盛り。ただ怒涛の詰め込みなのでほとんど把握しきれなかったのがつらい。
クロスオーバー作の宿命として、アラを探すといろいろ出てくるのだろうが、テンポ良くそんなつっこみをしてる暇はない。さすがはプリンセスプリキュアの脚本・シリーズ構成の田中コンビ。またテレビシリーズを担当して欲しいものです。

余談。こういうクロスオーバーは東映においては仮面ライダーが一番先なんだろう。平成においても、ディケイドで丁寧に過去作をなぞっているうちは良かったが、作品が入り乱れたところで破綻。次のジオウではもう訳がわからなくなって観るのすら辞めた。
スーパー戦隊ではゴーカイジャーが奇跡的に1年通して過去作とクロスオーバーしてみせた。しかしゼンカイジャーではある意味諦めがあって、クロスオーバー部分はエッセンス程度に済ませてしまった。でも仕方ないか。実写の場合、役者を招集するのがそもそも難しいし、年齢問題もある。しかしアニメなら。プリキュアのみんなは年を取らなくてもいい。(あえてとってオトナプリキュアでもいい。)今後もずっと続いていけばさらなるクロスオーバーの名作に出会える可能性もあるだろう。