セカンドノベル(PSP)

 

セカンドノベル ~彼女の夏、15分の記憶~ - PSP

セカンドノベル ~彼女の夏、15分の記憶~ - PSP

  • 発売日: 2010/07/29
  • メディア: Video Game
 

 2010年に発売された、アドベンチャーゲーム…、ノベルゲームとか言う方がイメージしやすいかな。小説を読みながら時折分岐する、という類いのやつ。最近までその存在自体知らなかった作品なのだが、これも縁。

物語の背景は、と。とある地方の高校が舞台。校舎の屋上から男子生徒が落ちて死亡。その一週間後に幼馴染の女子生徒(ヒロイン)も同じように屋上から落ちた。こちらは命こそ助かったが、その時の傷で事故少し前からその後の記憶が一切なく、さらに現在でも記憶が15分程度しかもたない、15分経つと記憶が事故前の状態にリセットされる障害を持ってしまう。ゲームの主人公は、そんなふたりと仲の良かった男子生徒で、その騒動から逃げるように去り、学生生活を済ませ、都会で働くようになった5年後。長期休暇で帰郷してきて再びヒロインと再会。ふとしたことから彼女が事件直前に物語を作っていたことを知る。物語は死んだ友人とヒロインをモデルにした日常もので、現実とどこかで繋がっていると感じた主人公は、ヒロインの物語を完成させることであの頃起こった事の真相に迫ろうとする。…って内容。

シナリオ演出、そしてゲームシステムの肝はヒロインの記憶が15分しか持たないところ。少し話すとそこでヒロインの記憶が途切れてしまうので、物語のパーツを一枚づつ「あらすじ」としてカードにまとめることで、長い物語を紐解いていくわけだ。これは設定をうまいことゲームに落とし込んだものだと感心した。オリジナリティは高い。物語は長く、分岐もあり、エンディングも複数。話をまとめるのに数日かかるため、キリのいいところで中断。現在の日常生活の話も進むので、リアルな現在と物語な過去の二面から、プレイヤーは作品世界全体を把握していくことになる。

とまあ、上手い上手いと書いては来たが、この作品の問題は曖昧性。ゲームがどれだけ進んだとしても、ヒロインの、15分で記憶がリセットされる障害が治らないことは序盤から…設定として明らかにされている。過去の顛末の目撃者もいない。真相に迫る手段としての物語も、虚構と本当にあったことがはっきりしないため正しいゴールを見ることは決してできない。それでも終盤になると真実らしい結論とオチらしいオチに辿りつき、一応これで納得できるかな、風にはなるのだが、ゲームは終わらない。

ページの制限がなく、ボリューム多が正義みたいなノベルゲームに良くある悪しき慣習として、長い描写と「蛇足」があって、このゲームはこれが本当に残念ポイント。余計な設定と問題提起をわざと読み取りづらい状況描写で流して終了。プレイヤーはモヤモヤ状態のまま投げ出されるのであった。せめてオチのところでしっかりエンディングらしくしてくれてれば好評価で終わったものを。

評判は、事前に他人の感想で知ってたからいいけどね。覚悟完了済み。
おまけのノベルは時間のあるときに読むかな。