ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド (SW)

いつクリアできるのか、さっぱり分らない。そもそも今回の地図はどれだけ広いのか?今作がベストとは言わない。物語を順に沿って演出してもらう方が自分は楽しめるクチだ。だけど、演出の枷が外されて自由なフィールドで遊び続けるこの開放感たるや!すげー!
このまま、祠を制覇しつつ四神獣を倒してガノンまでいけば終わってしまうのか?後半〜終盤あたりは演出がっちりの一本道になるのか?先が長いのでゆっくり行こう、というかゆっくり行くしかなさそうだ。

ちなみに今回買ったのは↑で紹介している「COLLECTOR'S EDITION」。ハードが変えなくても限定品だからソフトだけでも先に買っておくべきなのに。こちらも迷って新品は買えずじまい。たまたま中古が8,000円で入手できたのは運が良かった。今AMAZON見ると12,000円か…。こっちにしたのはもちろんサントラ狙いだが、今回曲がシンプルで少し萎え。映像がパワーありすぎるので音響面控えめなのは演出として正しいのはわかる。わかるよ…。

ちなみにその2。持ち運んでのゲームプレイが素晴らしいので後悔はしてないけど、自宅で遊ぶなら確実にWiiU版がオススメになりそうだ。アイテム選択やらマップやら、2画面が絶対に有利。
[追記:2017.6.19]
結構前にクリアしたが、今でもボチボチ遊んでいる。このタイトルはヤバイ。個人的フェイバリットゲームはドラクエIVだが、そんな自分でも、キングオブゲームは「ゼルダの伝説時のオカリナ」だと思っている。ゲーム性(アクション、アドベンチャーRPG、ナゾトキ)、物語への没入感、そして「まともに遊べる3Dゲームを確立させた」革新性、と。この作品が全ての観点で抜きん出たモンスターゲームだからだ。(同シリーズの後の作品もそれぞれ並々ならぬ進化は遂げているのだけれど、どこか二番煎じで冗長な感じがぬぐえなかった。)

今作の進化は、ゲーム界全体で見た場合の革新性は少々弱いようだが、ゼルダタイトルとしてみるとガラリとゲーム性が変わっているというのに、これこそがゼルダシリーズの決定版と確信できる、すごいバランスをとっている。

ここでは、このゲームの凄さをゼルダシリーズアイデンティティと併せて語ってみようと思う。切り口として、このゲームの作りを3つの層に分けてみる。

1. 環境
いきなり今作最大のエポック部分を挙げるが、それがゲームを作る際の土台というべきところ。世界であり、環境。この作りこみがゲームの6割を占めていると思う。昼夜、夕焼けがあり、天気も変わり、動物たちが生活している広大な空間。出来の良いシューティングゲームはただ弾を撃っているだけで気持ちいいというが、今回のゼルダはただ歩き回っているだけで楽しい。ゲーム以前のシュミレーター的エンタテイメント。モンスターの生活、彼らとのバトルもそこに入れていいかな。倒しても定期的に復活する彼らをアクセントに、いつまでもそこにあり続ける世界。ゼルダの伝説というシリーズは無意識に、というかゲーム世界をまとめる必然として箱庭的フィールドを毎度作ってきていた。「スカイウォードソード」では「ただ広い世界を作っても間延びするだけだから」と敢えて広さを抑えて濃密さを追求していた。あれはあれで「同じ場所がいろいろ変化して何度でも遊べる」楽しさはあったものの狭いと感じる気持ちは抑えられなかった。今作はその鬱憤を晴らすかのような広大なマップだが、上記に挙げた時間、天候、生態系がもたらす変化ある美しい風景にかなりの飽きが抑えられている。

2. ゲーム
環境をきちんと整えた上で乗っかるのは無数のミニゲームたち。祠であれ四神獣であれすべてミニゲーム。コログ族探しもまたしかり。過去作品にあった「誘導による順番制」はやめて、どれも等しく世界のあちこちに散りばめて、それらを見つけることがまずご褒美。ナゾトキを楽しむのもご褒美。そして解いた後に得られる本当のご褒美。ユーザーはこれらミニゲームを探して世界を彷徨ううち、世界と風景の美しさ、歩くだけでも楽しいことに気付いていく仕掛けだ。そしてこのナゾトキを含めたミニゲームゼルダらしさを醸し出す。ゼルダの定義は定まってはいないようだけど、ナゾトキのないゼルダゼルダではないと思う。優れた環境、いつもの物語があってもだ。だから「ゼルダ無双」はゼルダではない。外伝としては認めるけれど。

3. 物語
環境を前面に。それらを能動的に探索する仕掛けとしてゲームがあり、さらに強くゲーム世界に誘う道具が物語。今作では先のふたつを優先した関係で物語が相当薄くなってしまった。ちょうど表現豊かな世界提示のためにピアノのスケッチ的で控えめな印象となったBGM同様に。しかし少ない要所をきっちり押さえ、役割をまっとうした物語の語り方には強く感銘を受けた。話自体は単純だ。「100年前にゼルダ姫や4人の英傑たちと厄災ガノン討伐を試み、敗れたリンクが蘇生。100年間ガノン封印し続けたゼルダを救うべく再びガノンに挑む。」ネタバレするとそれだけ。イントロダクションの最後に告げられた、これだけ。だけと素晴らしいのはここから。リンクが世界を旅していくうちにゼルダや英傑たちと過ごした日々が少しだけ映像として蘇る。全部で18。でもこれだけ。ゲーム内では、この部分以外の記憶が明かされることはない。けれどこの18の映像や、四神獣、ゼルダ達が残した日記などを通して、多くのプレイヤーの想像力は100年前のリンクの冒険を蘇らせることが出来たはず。蘇ったのは映像化された記憶だけか。それとも当時の記憶全てか。もちろん解釈はどちらでも自由だ。解釈はどうあれ、ゲームや世界環境にちょっと添えただけの演出で雄弁に、こと細やかに語られた物語と同等か、それ以上の効果をもたらしていること。プレイヤーの自由を妨げることなく物語に浸らせる、なんてスマートで美しい手法か!かつでDTというGBAのゲームで断片情報だけでも、ひとはそれを繋げて大きな世界観や物語を読み取れるという可能性に気付かされたことがあるが、それをここで、こういうかたちで使うとは!見事とか言いようがない。

そういうわけでこのタイトルは3回エンドが用意されている。ひとつは正規のエンディング。ガノンを倒すこと=物語の終わり。それでも世界にはまだまだ謎が溢れている。それらをすべて見つけて解ききるのが第二のエンド。そして第二のエンドを迎えてなお、この世界を徘徊し、美しい風景やモンスターたちに戯れる楽しみが残っている。これは永遠だ。第三のエンドはこの世界を飽きたとき、ようやく訪れるのだ。

最後に好きな音楽について。
当作品は音楽は物語並みに添え物で。通常はピアノスケッチなシンプルな曲だ。が、ここぞという時に流れる曲には力が入っている。

意外にいい感じなのが神獣ヴァ・ルッタとの戦い。バトル曲でいて優雅な美しさが好み。

そしてミファーとの切ないエピソードの曲。

シドもやんちゃなキャラのくせにテーマ曲は美しい。ゾーラだからか。

リーバルのテーマもいい。嫌味な男だが、それすら懐かしい思い出になってる雰囲気。

盛り上げとしてはラスト直前の四神獣支援曲。短いクセにやたらと効果的。

しかし。ゼルダファンとしては。なんといってもグッとくるのはカッシーワのテーマ最終形。

いつもの彼の演奏に続きがあるだなと思うとやがてくる感涙のテーマが。ここまでくるのに苦労しただけに最良のご褒美だった。フルのサントラ、出して欲しいな。