裁判ゲーム

有罪×無罪

有罪×無罪

有罪×無罪(DS)をクリアした。これはすごぶるいい。
あえて劇画調(?)にしたイラストにしたとこからも、裁判員制度開始のタイミングに合わせた啓蒙的ソフトという位置づけだろう。しかしそこから逸脱することなく、真っ向からゲーム化しようとして成し遂げた優等生タイトルだ。普段ゲームをやっていない高めの年齢層から、ゲームが分かるマニアまで、広いターゲットを満足させられる出来と言えるだろう。

とりわけ感心したのはゲームの肝、裁判員同士の議論のシーン。このゲームデザイナーは今回のゲームシステムのために、「議論」の仕組みを丁寧に紐解いたのだろう。議題をいくつかのファクターにわけ、各ファクター毎に裁判員同士で話し合うのだが、基本的なコマンド「賛成」「反対」「質問」「スルー」の4つで議論に参加した気分が味わえる。
何度もどんでん返しが味わえるシナリオも良い。劇画調(?)の顔もすぐに慣れ、被告、証人、裁判員たちの個性も際立っているので、共感、嫌悪どちらにしろなかなかに感情移入させてくれる。個人的に今年の注目タイトルにしたい。

THE裁判員と比較するとなお興味深い。
THE裁判員では「裁判をゲーム化する難しさ」を強く感じた。シナリオライターの色が強烈で、こちらも裁判啓蒙タイトルのはずが裁判員制度の限界まで盛り込んでしまう過激さ。ゲームについては正直甘さを感じる部分もあるが、読み物として非常に楽しめた。キャラのアニメ絵なところも含め、こっちはターゲットがかなり狭い。各エピソードの連結を考慮した結果、主人公を憑依する幽霊として設定するなど、オタク嗜好、マニアック嗜好が強いが、はまると深い。こちらも強くお勧め。

こうして2タイトルをプレイしてみると裁判ゲームの元祖、逆転裁判の方が今後むしろ危うい気がしてくる。うそを暴くというシステムは今でも簡単には飽きない。確かに逆転検事もそれなりに楽しめたが、4の時点でかなりのマンネリに陥っている気がした。高い人気に支えられている一方、エンタメ方向にぶれ、裁判の持つ重みが失われつつあるようにも思う。4のラストで裁判員制度の話が出てきたが、5ではこの制度もキレイにシステムに取り込むことができるのか?こりゃスタッフも大変だな。

SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~ 逆転検事(通常版)