くろ助

洋ゲーの有名なシリーズ、アサシンクリード新作の舞台は戦国日本。
それも主人公のひとりは弥助だという。弥助は信長に仕えたという黒人。詳細はあまり知られてはいないが、この時代の日本の歴史に黒人が登場するというそれだけでロマンが感じられる。しかし、日本人なら「ロマン」の一言で済むが、外国人の場合はそれ以上。ほぼ単一民族である日本人の、戦乱の時代に黒人が?それは素晴らしい、と。きっと彼が日本の歴史に重大な影響を及ぼしたに違いない、などと、ちょっとした現実のひとかけらを拡大解釈、盛に盛って、戦国時代に幾人もの黒人武将が大活躍!…みたいな感じに妄想をたくましくする者も現れる。妄想とわかっていれば良いけれど、いつしかそれを事実であったかのように思いこむ連中まで出てくるのも世の常で。一方、そんなわけないだろう目を覚ませという勢力も現れて、今海外では弥助論争が盛んなのだった。

かといって、自分も弥助のことはたいして知らない。歴史の話をwikiで読んでも、そもそも弥助の情報などほとんどないのだった。そんなとき、海外SNSでこの本を知り、読んでみる気になったわけだ。
読んでみて。新しい情報はなかった。しかしだからこそ、なるべく史実に忠実なのだろう。本能寺の変のその日。信長が光秀に討ち取られた時、弥助はその場にいた。その体格からかなり強かったが日本のいくさ経験もなく、降伏。人間でなく犬だ、という物言いは一見差別だが、むしろ弥助を見逃す方便で。弥助は南蛮の寺に辿りつく。物語はここまで。史実もここまで。新しくわかったことはなかったが、その場の状況をかなりクリアに知ることが出来た。と思う。