仮面ライダー電王

仮面ライダー電王 VOL.1 [DVD]

仮面ライダー電王 VOL.1 [DVD]

終わって半年だってのに映画化というのは相当の人気があってのこと。ということで久しぶりにライダーのシリーズ一気観。龍騎、555に続いて3回目。個人的には龍騎の方が好きだけど、おそらくこっちの方が人気あるだろう。なにせ基本的に明るい。龍騎は殺伐しすぎだった。

基本設定は結構めんどい。
未来からやってきたイマジンが「契約者を見つけ」「望みを聞いて実体化」して「契約を実行」し終えたら「契約者のもっとも思いの強い過去にとび」「過去を破壊しまくる」で、「未来が消える。」。それを阻止するべく時間からのあらゆる干渉を受けない特性(特異点)をもった野上良太郎は自分に憑依したイマジンの力を借りて電王となり、「時の列車」デンライナーに乗って事件に駆けつける・・・。あらすじ書いてて未だに良くわからない設定だと思う。なぜイマジンたちがそんな面倒なややこしい手順を踏むのか「時の列車」はどういう仕組みでどういう組織が運用しているのか。最後までわかった気がしない。ちゃんと説明されてて見逃しただけかもしれないが。でも。そこんとこはわからないまま受け入れれば良くて、そうすればあとは楽しく奥深いドラマを味わえる。

楽しみのポイント一つ目は良太郎とイマジンたちとの関係性。憑依する4人のイマジンたちは、「短気で好戦的だが、涙もろく良識もある」モモタロス。「キザで女好き。口八丁で周囲の人間を手玉に取る」ウラタロス。「人情に脆い世話好きな」キンタロス。「口調は無邪気。性格は我儘で気分屋で甘えん坊な」リュウタロスと一癖ある連中ばかり。一方の主人公良太郎は気弱で喧嘩に弱く、さらにありえないほどの不運に見舞われやすい性格でいながら、彼らをうまくいなし、最終的には自分の仲間として受け入れるその器の大きさに好感。この5人やデンライナーの面々らを軸にしたやりとりがこの世界を楽しむ一つ目のポイントだろう。

二つ目のポイントは毎度現れるイマジンと契約を結ばされる契約者たちのドラマ。ひとはそれぞれ「思いの強い過去」をもち、それらをトラウマにしたり糧にしたりして生きている。そこを突くことで毎回得られるドラマがなかなかに良い。もちろんそのドラマ群の最たるものが野上良太郎とその姉たちの物語になっていくわけだが。

三つ目のポイントはシリーズの中盤から登場する桜井侑斗。彼はいったん収まりつつあったドラマを後半戦に向けて大きく動かす役回り。ちなみこの役者さん(中村優一)、仮面ライダー響鬼でも同じように物語後半に登場し(桐矢京介)物語を牽引していたが、これがイヤミの効いた役柄。彼が嫌いで自分はこのシリーズを見るのをやめたほどだ。今回もどことなくそんな空気を醸し出していたが(そういうのが得意なんだろーな)同行するイマジン、デネブが嫌な雰囲気を一掃してくれたのがありがたかった。どんなにイヤミなやつでも、面倒見の良いお母さんが現れると愛らしいキャラに変わるものだ、と。そして気がつくと彼はシリーズ中最もシリアスなキャラとなっていた・・・と。
最後にもうひとつ。作品の本テーマ「時間=記憶」論はFF8と似ている。わりと難しい題材なのだけど、電王の方がうまく消化していたと思う。