黒き翼の王

前作の時点でそうだったのだけど、登場人物が増える毎に視点が移り変わりせわしない。あるキャラの話でおまけだと思ってたのが重要人物化したり唐突に新キャラ視点で始まったり。都度感情移入が削がれるんだよね。

それでも終盤に入っていくと、それらの8割が一か所に集まって収斂される流れは気持ち良いところ。特に双子姉妹の初顔合わせは散々待たされた故の感慨があった。
しかし、この双子の片割れ、イサボーこそが物語の主役ですよ、という出だしだったのに、前作前半で拷問に掛けられて以後ろくな活躍なし、という無様なオチは読めなかったな。本人も、妹が大活躍して王族に迎えられたのに自分はただの料理番ですか。みたいな自問してて「本当。そうだよな」とおもわず読者もうなづくのであった。

物語的にはひとつの決着をみた今作だったが、終盤に集まることもなくそれっきりの2割連中の足取りと、逃げちゃった敵の親玉?さらにその本拠地との真なる戦いが次作で語られる…んだよな?イサボーの本当の活躍も、これからってことでいいのか?でないと彼女は自分の知ってる物語で扱い最悪の主人公になるな。