出掛けるので、勢いよく玄関のドアを開けて一歩踏み出す。
その一歩が床を踏みしめようとした瞬間。踏みしめようとしたコンクリの床面になにか異物を感じた。枯れ葉のカサカサした感触。すでに体重移動は始まっていたが、刹那。足元のそれは勢いある羽音と共に飛び出した。あぶない!バランスを崩しかかる。
良く家の前で蝉が半分死にかかった状態で落ちているのだが、その日はあろうことか玄関のつい先で倒れていたのだった。完全にお亡くなりになっていたとしても、踏んでしまったらその感触は相当気分悪いものだったろうから、生きていて、飛び立ってくれて助かった。

なんてことがあったのは、半月前の夏の終わり。