電脳倶楽部(X68k)

X68000サルベージで外せないのが「電脳倶楽部」略して電クラ(?)。
「電源ONですぐ起動、マウスひとつでらくらく操作」がキャッチコピーの、X68000専用のフロッピーディスクマガジン。HTMLがない時代、DSHELLなる独自のインターフェイスでテキスト表示、画像、音楽、プログラムまで連携統合させ、当時喧伝されていたハイパーメディアを地に足が着いたレベルで実現させていた。一時期定期購読していて結構な数のフロッピーが溜まっているのだが、これをひとつひとつサルベージするのは面倒で。さらに行方不明の号もある始末。しかしSCSI-HDが繋がるようになった今、新たなる策が浮かび上がる。「電脳倶楽部」はその後期、バックナンバーをまとめてCD-ROMで発売している。これを入手すればすべて解決だ。だがそんなレアな商品、いまさら入手できるものだろうか。検索ワードを試行錯誤してようやく「駿河屋」なるところで売っているのを見つけた。以前から古いPCパッケージを探していたときにも目にしたショップだが、電クラまで売っていたのか。もちろんこの手の中古はいつも在庫があるとは限らない。値段はそれなり、この月は車の保険とかいろいろ出費もかさんでで迷いもあったが…ええい!
購入したのは以下4つ。

・月刊電脳倶楽部パーフェクトコレクション CD-ROM Vol.1〜50
・月刊電脳倶楽部パーフェクトコレクション CD-ROM Vol.51〜100
・月刊電脳倶楽部パーフェクトコレクション CD-ROM 1997年度版(Vol.100〜115)
・すてきな電脳倶楽部

当時自分が定期購読していたのは大学時代後期から新入社員あたりまでなので90年前半までなのだが、いろいろあって別冊(すてきな電脳倶楽部)まで買ってしまった。X68000エミュで繋がらなかったら。それどころかX68000用CD-ROMだからWINDOWSでアクセスできないリスクまであった。賭けではあったが、結果として杞憂で済んだ。
順を追って書こう。まずは普通にCD-ROMで読んでみる。ちゃんと見られた。保証外といいつつもHTML対応までされている。この頃はもうHTMLが普及しちゃってるんだよね。画像もX68kメインのPIC形式が多いのだが、SUSIE(多種な形式をサポートした画像ビュアー)をダウンロードするとちゃんと見えた。ていうかSUSIEのページが十数年前そのままなのも懐かしい。音楽は…こっちもX68kメインとしてはOPMとかZMUSICとかだよな。特にZMUSICはFM音源、AD-PCM、MIDIすべてを統合させた音楽ドライバだが、ZMDRIVEというツールを発見。これならすべて同期で完全再現。すごいや。テキスト、画像、音楽。どれもその時代の空気を感じる。90年のPC環境や時事、生き方。素人っぽい愚直な絵柄。音楽は今でも聴けるが、流行ものなどの選曲がなんとも。また、読者の書き込みを読むと住所から本名まで、個人情報ダダ漏れ。再販は絶対にできまい。パソコン通信のログやライブラリが残っていれば、同じ感慨がもっと膨大なボリューム感で感じられそうだけど、こんな個人情報、著作権絡みで触れられないのが非常に勿体ないところだ。
さて。ひととおりWINDOWS環境で堪能した後、X68k環境での再現を試みる。X68kエミュレーターのXM6gではCD-ROMをISOで設定できるようになっている。うーむ。まずはCD-ROMをそのままISO形式でファイル化しなくてはならないのか…。不得意分野だ。同僚S氏の助言を元にいくつかソフトを試すが、DVDしか対応できなかったり、肝心な機能が有料だったり。最終的にたどり着いたのがAlcohl50%。変な名前だがあっさりISO化できた。だが、やはりというかそんなに簡単は終わらない。ISO化したファイルを設定しても、X68kがCD-ROMをドライブとして認識しないのだ。さらにネットを調べてSUSIE.X(ややこしい名前)でDEVICE設定しないといけないと分かる。SUSIE.Xはネットからダウンロードできるが、一旦X68k環境にコピーしなくてはならない。そこでマスターディスクのconfig設定を書き換えて…。こうして十数年の時を越えて、ようやくDSHELLの画面が己れの目の前に表示されたのだ。