ボスコアドベンチャー

ボスコアドベンチャー DVD-BOX<予約限定生産>

ボスコアドベンチャー DVD-BOX<予約限定生産>

先日TSUTAYA で見つけた昔のアニメの中古DVD-BOX、それがボスコアドベンチャーだった。ほぼ完璧に存在を忘れていたが、そういえばいつか見た記憶が。家に帰ってWIKIファンサイトを確認、だんだん思い出してきた。放送当時見てたわ。名作「宇宙船サジタリウス」の匂いを感じさせる擬人化動物たちの世界。主人公は熱血カエル(フローク)とカメ発明家(タッティ)に高所恐怖症のカワウソ(オッター)の3人組。それと、妙にかわいい人間(?)の女の子(アプリコット姫)がひとり。オープニングでみると彼女が破格の扱い。当時はそこに妙な違和感を感じていた。違和感が原因かは覚えてないが(単に裏番組に切り替えただけかも)最後まで見切っていないはず。DVDはまとめて中古で1万円そこそこ。サジタリウス以上にマイナータイトルだからDVD再販も配信もないだろう。買っておいて損ないのでは。と購入してしまった。結論からいうと買っただけの価値はあった。もちろん目をつぶらなくてはならない突っ込み所は満載でひとにススメはしないが個人的には十分。わりとマメな感想を書いておこう。

オープニング/エンディングテーマ


曲自体は忘れていたが、キャッチーな曲、という印象だけは残っていたオープニング。聞き直したら惚れた。好みのメロディライン。こりゃCD探さねば。エンディングはなぜかきっちり覚えていた。聴いてるうちに記憶がよみがえってきたような気が。この番組、意外と観てたのかな。

[追記]CDとしては、これ。オープニング、エンディング共にこちらに挿入されていた。

サジタリウスはともかく、ドラゴンボール聖闘士星矢など、わりと有名なタイトルも登場。同じ時期の作品なのに人の思い出に残る残らないの差は大きい。

BGMもなにげに良いのでサントラも欲しいのだけど、CD化されていないらしい…

前半

ボスコの森に住む3人(フローク、タッティ、オッター)が、飛行船ボスコ号に乗って悪の3人組、フードマン一味からアプリコット姫を救出。彼女の故郷であるフォンテーンランドを目指して旅をする、というのが物語の骨子。序盤はまだ全体的に印象が薄い。1話のほとんどを「追いかけっこ」シーンに使ってたり。放送当時違和感だったアプリコット姫(自称:アプリ)がやっぱりこの作品のポイント。従来のお姫様イメージらしからぬ行動派なのはいいとして、あまりに単純な性格で余計なことに首を突っ込んでは危険を増やしてばかり。悪の3人組がドジなおかげで命拾いするのだけど。ちなみにアプリコット姫の声は「ラブプラスでやっぱり自分はこの人の声が好きだったんだと再認識した」皆口裕子が担当。テレビアニメデビュー作だそうで、演技がまだおぼつか無いという指摘もあるが、初々しさが彼女の持ち味なので自分的はオッケー。またこの作品では「山ちゃん」でお馴染み山寺宏一氏もデビューしている。実は最後まで「発明家のタッティ」担当だと思い込んでいたので「デビュー作にして、いきなり大活躍」と書くつもりだったのだけど、タッティじゃなくてオッターだったのね。…うん。オッターも活躍したね。

中盤

敵、味方それぞれに新キャラが登場してようやく物語に深みが増してくる。まずはフォンテーンランドの総理大臣、エンダー。アプリコットを追ってきた彼は融通の利かない堅物で、前半でチームワークの固まった面々を掻き回す役回り。もっと大事なのは「フォンテーンランドで王位に付く=人の姿を無くしてしまう」というアプリコットの重い宿命を明らかにしたこと。彼女のわがままに辟易していた主人公フロークも、これをきっかけに少しづつ想いを募らせていく(ってカエルごときがいいのか?)敵側には、悪の組織から重鎮ダミアさまが合流。「純真ロリ幼女」なアプリコットに対し、正反対な「悪で知的で大人な熟女」は正に適正配置。また、彼女によって本来の立場からけ落とされたフードマン一味は狂言回しとしての役割がすっかりハマリ役に。もともと「はせさん治」「緒方賢一」というボケキャラのベテラン2人体制に加え、シリアスな悪の総帥からボケ役まで何でも強力なインパクトを以ってこなす「銀河万丈」の鉄壁3人組。(ちなみにダミアさま役の吉田理保子も「ハイジ」のクララ役から「まいっちんぐマチコ先生」までこなす超ベテラン。)おそらくアドリブもあったろう。タイムボカンシリーズの3悪にも迫るバカチームワークは見どころ。なんだかんだいってもドロンジョへの忠誠心が厚い二人の部下に比べ、安定した老後を狙う中間管理職のフードマンが、雇われ人的な二人の部下にコケにされまくる姿がいじましくも愛らしい。

終盤

冒険のラストはもちろんフォンテーンランドに着いてから。すでに敵の親玉、スコーピオン(正体はわりとSFっぽい)の支配下に納まっていたが、ボスコの森の住人たちの助けもあって住民たちも蜂起。一方主人公たちは敵陣地の中心部にある泉に向かい、遂にアプリが王位に着く。この辺の展開が熱いのは、ちょうど「指輪物語」と同じシークエンスを使っているから。「大規模な戦さが繰り広げられる一方、主人公たち旅の仲間、少数精鋭が敵陣地中央部へ赴き、「事を成す」ことで敵を壊滅させるが、それは同時に主人公らの大事な何かを決定的に失うことでもあった。」指輪を無くすことでサウロンは滅びたが、フロドも憔悴し、決して幸せな晩年を迎えられなかった。この作品でも、スコーピオンは滅びたが、同時にアプリコットはその姿を失ってしまう。ひとつ「指輪」と違うのは、大詰め。大事な指輪を失うことに耐えられなかったフロドはゴクリの裏切りのおかげで指輪を捨てることに成功するが、アプリコット姫は、ためらうことなく王位についた。物語で散々単純で純粋なキャラクター性を見せ付けられ、うんざりすることも多かったが、そんな性格だからこそ大事な場面を乗り越えられたのだと素直に納得できた。打ち切りでなかったとしたら、もう少し違ったラストになったのだろうか。もはや分かる術はない。