小木民俗博物館編

佐渡は海岸線といえども道は狭く、曲がりくねっている。ここは安全に焦らずにいきたい。後ろから速めの車が着たらさっさと横付けして先に行ってもらうよう促す。そこはそうして偶然入った場所だった。横をみると大きな蔵のような建物で、中に大きな舟の姿が。え?
みると入り口があって入場500円とある。ちょっと入ってみるか。蔵のなかはちょっとした体育館並みの広さで、いっぱいにこの木造りの舟が鎮座していた。なかにはいったり、作ったひとたちの紹介、作品が展示。こんな場所でこんなのが見られるとは。ちょっとうれしい気分になって外に出る。

と、隣に古く味わいのある建物が続く。ここも入っていいのか。中は昔の小学校だった。教室があり、黒板、古くて小さい机と椅子。さらに廊下を進んでいくと別の教室には古い「もの」がどっしりと陳列してあるではないか。時計。オルガン。衣服。ラジオ。明治、大正、昭和?あたりだろうか。微妙に歴史を感じさせる、でも子供の頃に見たことがあるかも?そんな「もの」たちがいくつも、いくつも!すごい量だ!奥には新館とやらもあって、展示品はこれだけではないらしい。

すでに夕方近く。道を急ぐタイミングにこの出会いは残酷だった。
時間があれば1日たっぷり見るだけの価値はあったろうに。後ろ髪を引かれるようにそこを出た。舟の受付のところで談笑していたおばちゃんに聞く。ここは昭和43年(自分の生まれる前年だ!)まで実際の小学校だった。当時は佐渡でも大きな町で、廃校になって1、2年周囲のものを集めて博物館にしたという。その当時にそんな事業を。30年たった今なら再評価されるものだけど、当時にそんな決定をしたのはとても先見の明があったのでは?

もう機会はないだろうが、もしまた縁があって佐渡に来るときがあれば、またここに来よう。そう思いつつ後にした。(調べたら、結構有名なとこだったのね。)