賽の河原編

カンとか霊感がまるでないので、安心してスピリチュアルなものにミーハーな想いを抱く自分。ホテルの近くにこんなスポットがあるなんて。これはやり過ごすなんてできませんな。二ツ亀の近くにあるそうだけど、わからない。車でちょっと出るが、一向に入り口が見えない。ホテルに引き返す。道で休んでいたタクシーの運ちゃんに聞くと、やはり二ツ亀のところに道があるとのこと。→再び現地に。
確かに標識はあったけど、道なんかなかったはず・・・あった。通行止めのように見えてこれは「車」向けか。徒歩なら行けるわけだ。

海岸沿いを進む。道は段々不安になっていく。もともと人ひとり分の幅に陸側は崖。フナムシがうごめいているぐらいならいい。崖が崩れてひとり分どころか幅一歩分しかなかったり、木が塞いでいたり、そのうち石だけになったり、そのくせ現地らしい場所はなかなか見えず、そろそろ引き返すか意地かと心中葛藤が生じはじめたところで、3分の2が砕けた看板に出くわす。文章のパーツから察するに、ここが賽の河原か。何にもないのな。岩肌に数体の小さくて白い地蔵。ふーん、この程度なのか。と軽い気持ちで先にある洞窟に入った刹那、
・・・・っ!!!!!!!
一気に血の気が引いた。ここだ。ここがあの場所。崖にできた、大きめの洞窟にびっしりと、地蔵たち。多くはあの白い地蔵だ。さらに供えられた人形たち。キティに仮面ライダー鉄腕アトム。波風に風化しかかっているところ、そして何よりこのびっしりと佇む地蔵たちに言い知れぬ「念」を覚えた。さらに振り向くと、一面の海と、あの有名な積まれた石の群。ひとつ積んでは父のため。ひとつ積んでは母のため・・・・。

有名な場所でいて、賽の河原は観光地ではない。子供を失ったひとたちのとても大事な場所なのだな。霊感もないし、当事者でもないが、だからこの程度で済んだ。でなければひどく打ちのめされていただろう。あいにく手持ちの硬貨がなく1円しか賽銭できなかったが、気持ちを込めたつもりだ。
しかし雨の夜、あの場所に閉じ込められたら恐怖だな。足場が悪くすぐ海だから動きはとれず、雨風を凌ぐにはあの洞窟しかない。しかし全体を包むあの「念」たちと一夜を過ごすシチュエーション・・・ガクガクブルブル。

ところで河原といいつつ、海岸なのはなぜ?(←いちおうオチ)