ラブひな

ラブひな(1) (講談社コミックス)

ラブひな(1) (講談社コミックス)

↑ではAMAZONを紹介しているが、もはや買う必要などなく、自分はJコミで読んだ。作者公認の無料なのでやましさなく語れるのがありがたい。
内容は。うん、あまり書くことはない。「モテない浪人生が親戚の旅館で勉強しようと来てみたら、そこは女子寮になっていた」などという設定はどこかで見たようなのの集合体だし、ダメダメでモテない浪人がヒロインに振り向いてもらうまでの話だと思ってたら、途中から立ち位置が逆転してヒロインが主人公への恋に悩む展開に(この時点で主人公だった浪人はヒロインとともに東大に合格してモテモテ超人化済み)。節操ないことこのうえなし。どんどん荒唐無稽、なんでもありになってしまう。でも、そういう本来当たり前の指摘が何の批判にもならない理由は作者のスタンスが「自分が書きたいことなどない。読者が楽しめる、望んでいることを描いている」、それだけだから。「ラブひな」の目的は読者が萌えて、エンターテインメントとして楽しめること。作品のスジは通す必要なんてない。物足りないと思うようなら、そのひとはもともと対象読者ではないわけだ。

自分の読者としての立場は、そういったエンターテインメントとしての必要性は十分に認めている。だって読みものというメディアは作者が書いた作品を読み手が解釈する、その最後の解釈部分まで含めて初めて完成されるもの(=作者と読み手の共同作業)だから。極端な話、最終地点の読者が楽しんでさえしてくれれば作者側はからっぽでも構わないのだ。
バカバカしいと思いながらもそれなりに楽しく読めたので、そういう意味で作品の目標は十分達成されていると思う。でも、せっかく描けるんだから、やっぱり作者なりのメッセージを読みたいとも思う。本当に優れた作品は、作者の書きたいメッセージが一本筋として入り、それでいてエンターテインメントしても両立しているものだと信じるじ、それがあってこその「作者と読み手の共同作業」だと考える自分はやはり対象読者ではないのだな。