声の網

声の網 (角川文庫)

声の網 (角川文庫)

星新一の中篇小説。子供のとき、これと「夢魔の標的」がセットになって文庫化されていた。「夢魔」は読んだのだけど、それでおなか一杯になってしまって、当作は読んでいなかった。けど、タイトルからしてインターネットを予見したっぽかったので読まなくてはいかんと少し前から探していた。復刊してたので買ってきた。
予想していたインターネットうんぬんは少し違うかな。しかし「ネットワークを使って個人情報垂れ流し」的なところとか、書かれた40年前(1970年)の発想とは到底思えない。オチになっている黒幕設定が、さすがに現代としては陳腐になっているけど、最終的な結末、落としどころには素直に納得。悪じゃなくて、神なんだ。否定とかそういうことじゃなくて、人の幸せの根本を考えればそうなるよね。
すっかり忘れてしまっている「夢魔の標的」を再読したくなったが、今度はこっちが見つからない。久々に図書館にでも行ってみるか。