スカイ・クロラ

押井守の作品は、数回見ないときちんと理解できないと言われてて、1回だけでまっとうな評価をするのは難しいのだけど・・って予防線を貼っているところからして個人的には微妙だったと言わざるを得ない。
前作「イノセンス」は(これまた一回しか見てないのだけど)情報過多。未来世界の雑多な映像にネットと脳が直接つながった刑事の話す古代中国の故事とか、膨大な情報の海から作者のメッセージを読みとるのは困難だったが、今作はそういう意味では間逆。情報少なすぎ(※)。
なぜ彼らは戦っているのか。キルドレとは何なのか。本来最初に提示されるべき世界観の説明がなされないまま物語は淡々と進み、いったい今は「起承転結」のどのへんなんだろうと思っていたあたりでようやく世界観の説明がふたりのキャラからなされ(どっちも酔ってたりテンパってたりのセリフなのでどこまで現実かもわからず・・・まぁそこは演出のワザだろう)で、作者のメッセージが語られたと思うとそこで終わり。それだって自分的には当たり前のことだったので心に響くこともなく。(←とはいえそれを聞くべきひとが多い時代とは言えるかもしれない。
(※)うむ。「少ない」は正確ではないな。相変わらず膨大なのだけど「自己主張しない」、が正しいか。ちゃんと飛ぶように監修している戦闘機『散香』とか、実はふとしたところにものすごいこだわりがあるらしい。そんなこだわりがどこまで見えるかが評価の焦点のひとつなんだろう。