赤川次郎の幽霊列車(FC)

手短にプレイできそうだと始めた。
それに、タイトルの「赤川次郎」だけでなく絵「わたせせいぞう」に音楽「すぎやまこういち」にピンときた。豪華スタッフだなと。知らなかった。

原作未読なのでシナリオは普通に楽しめた。あっさりめなのは悪くない。リアルタイムに定価で買っていたら違った感想になっていたかもしれないが。

わたせせいぞうのタッチ…ところどころ崩れ気味だが、それでも、全体の印象がとてもわたせチックで良い。全画面を背景にした心意気も素敵。(この時期のゲームはメモリの問題もあってそんなに大きい絵は描かない)さらにそこをキャラクターが動けばもっと良い…と思ったのだろうね。でもこのシステムでそれは蛇足。都度「話す相手に近寄る」という無駄な作業が増えただけだった。さらにコマンドの選択移動が滑りがちでかなり不快。作ってる方も途中で気づいたはずだが、予算と期間の都合で直せなかったんだろうな(邪推)。試行錯誤期の作品ですね。

そして、プレイ動機の最終推しはすぎやまこういちの音楽だった。氏にはドラクエ以外にもいくつか作品があって、ジーザス、アンジェラスはプレイ済みだったが、こういうライトミステリーなのは初めてかも。他作品では少ない軽快なリズムに時折流れるドラクエチックなメロディライン。これはこれでなかなかいいね、なんて思っていたら突然訃報のニュースが目に入り愕然とした。なんというタイミングか。氏の新曲がもう聴けないなんて。DQ12の曲を製作中とのことだったが、何曲ほど入ってくるのか。後任…。ともあれ優れた楽曲提供はもちろん、ゲーム業界の黎明期に一般の有名作曲者としてすぎやま氏がゲームに携わってくれて、どれだけ日本のゲームミュージックの認知度向上につながったことか。その功績は計り知れない。ご冥福をお祈りします。

なお、このゲームの曲の一部はこちらのCDで聴ける。

ゲーム出だしの「静かな朝」がこの作品のカラーをバシっと決める。


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「女子学生 夕子」がヒロインの爽やかな活躍に色を添える。


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最後にすぎやまこういち氏の曲で一番のお気に入りを書いておこう。DQ4勇者の故郷」。
滅ぼされた村から独り旅立たねばならない衝撃の展開にこの曲が流れ、勇者自身と自分の気持ちがシンクロした瞬間は決して忘れられない。オーケストラ版もいいが、やっぱりFC版が一番。


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