天外魔境II 卍MARU(PCE/PS2)

 前作が終わってちょっとしてからプレイ開始。大ボリュームと聞いてはいたが、よせばいいのにやってしまったザッピングプレイ。感想を一言で言うと「お腹いっぱい。もう十分」。PCE版 94時間40分。PS2版61時間44分。合計150時間以上か。すごかった。でも死ぬ前にプレイしておいて良かった。

前作で見えた「直すべきところ」「伸ばすべきところ」をしっかり手当。ただの大ボリュームではなく、ストーリーと演出を強化。現在やってみても遜色がほとんどない。2D RPGでの最高峰と言っていいかも。PCエンジンユーザーが誇るのもわかる。

いろいろ項目立てないと整理して語れないのでそうする。
※今や古典作品なのでネタバレは気にしてません。

・戦闘まわり
誰かが死んでも歩いているうちに復活。全滅しても場所は戻されるが経験値もお金も一切減らない。こんなに全滅リスクが低くていいの?そのかわり戦闘はザコレベルでも結構キツイというエッジの効いた割り切り。なるほど。
終盤になると、レベル上げだけでは済まないようになってくる。さまざまな巻物とかアイテムを駆使しなくてはならなくなってくるのだが。RPGバトルはHPとMPのキープが肝と信じる自分には、とにかく「弁天の兜」(MP不要でひとりをそこそこHP回復。いくつでも買える)と「天照の剣」(MP不要で全員そこそこHP回復。一個しか入手できない)。これでバトルの芯が出来た。そしてラストバトルは実機にはない最終兵器、「こまめなセーブ」で乗り切った。いやあ、あぶないあぶない。

・ストーリー
「暗黒ラン」「**城」「根の一族からの刺客」と、ひとつづつ小さい物語をクリアしながら進める構造になっているのだけど、その小さい物語が全然小さくない。かなり苦労して、そこそこの達成感は感じるものの、そこはただの1エピソードだよという軽い絶望感が味わえる。

そして、敵=根の一族による攻撃の執着心というか、陰湿さというか、ドギツさが深く印象に残る。

精力絶倫で男とまでもヤってしまう(と匂わせてある)超ナルシストやら、美しい姫と思わせておいて、実は気持ち悪い化け物とか(騙されて改造されたという裏話付き。)主人公側の犬の脳を改造して襲わせようとしたかと思うと、人間を豚に変えて他の人間にそれと知らないうちに食わせる奴とか(近親者を食べてしまう地獄)、主人公を殺すことが生きがいとなり、何度もアタック。ついには「愛してるよ!卍丸」と言いながら自分の体に改造を重ねて襲ってくる奴とか。プレイしたタイミングによってはトラウマになるわ。これが桝田節なのね。

・キャラクター
RPGを成功に導くのはキャラだ。と看破してのテーマ曲付き作り込み。わかってるひとが狙って作ってるのは見ていてわくわくするね。

「カブキ団十郎」はとにかくド派手なのをぶち込もうっというキャラ。最初に仲間になるものの、普通に仲間って枠に閉じ込められず、後半まで離脱するという。

 
www.youtube.com

艶やかな前奏、緊迫感あるメロディが続くと思いきや、彼特有のデレっとした甘えた旋律まで、キャラクターのイメージを全て詰め込んだテーマ曲。見事。

「極楽太郎」は、1000年封印されてきても動じないのんびりとしたおどけた巨漢ってところ。加えて長く生きただけあってか意外と常識人キャラ。


www.youtube.com

好きな女性一筋、ということもあり曲は少しふわっとして、あとは彼の風貌を思わせる旋律。でも「常識人」ってところには触れておらず。ってそんなの曲に落とし込めないか。

「絹」はとても弱々しく、儚げな印象が最初に来る。全般的に荒々しい社会、荒々しいキャラたちのなかで、それは異彩を放つ。もちろん、それには裏があるのだが。


www.youtube.com

曲はもちろん、表面的な彼女のイメージをきちんと反映。おとなしすぎてちょっと物足りないぐらい。

・音楽
キャラクターのテーマ以外にも、おどけた「菊五郎のテーマ」とか(あ、これもキャラクターテーマか!)


www.youtube.com

「聖剣の声」とか


www.youtube.com

「別れ」とか


www.youtube.com

その他各種ファンファーレ含め、いちいち出来がいい。感激ものですよ。
うん十年聴いてこなかったのが勿体ないほど。

・演出
CD-ROMによるRPGアニメ的表現のほぼ始祖なのにかなり高いレベル。ストーリーにぴったり。…が。今見るとさすがにちょっとあっさり演出が終盤あたりにチラホラ。絹のクライマックスは残虐!シーンで有名で、後の移植では修正されてたりするが、それとは別に描き込みが物足りない。他のシーンがあれだけこってり風味なのに、残虐でなくてもいい。もっと吹雪御前と同じように実感できるほどの「恐ろしい」絹の描写が観たかった。
同じく三太夫の最後も、あの当時はあのレベルで十分感動できたのかもしれぬが、ああも連続で続くとさすがにしらける。

・PCE→PS2
評判が悪いPS2版もプレイしたのは、このタイミングでないと絶対プレイしないだろうと思ったから。たいていのザッピングプレイはそういう動機が多い。また、戦闘が少々ぬるめに調整されているので、これならなんとかなるかな、と。PCE版で続行できなくなったらこっちだけクリアという手もある、とも考えたのね。緊迫したバトルを望む世間に比べ、自分はぬるいのがお好きなのです。実際は両方クリアできて良かった。

PS2版は、時代に合わせた進化をしている。フィールドやキャラクターをポリゴンで描き、バトル時の敵キャラはアニメで動く!でもさ。気合で細部まで拘りぬいた作り込みのオリジナル(PCE版)に比べ、こちらは、なんというか、仕様書に沿ってソツなく作りました、っていう感じ。アニメで動く敵はいいけど、その描き込みは塗り絵みたいなぺらっぺらで。魂が入っていないのがすぐ分かる。いろいろとアラが見えてしまう。
なお、移植としては、DS版、PSP版もあるのだけどこれらは基本PCE版だからな。…でも諸々おまけがありそうなのが気になる。 

  まあ、今買うならこれ一押しなのだろう。