3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版(PS2)

3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版

3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版

  • 発売日: 2005/09/29
  • メディア: Video Game
 

金八先生は自分の年代はほぼジャスト。当時周りではみんな観てた。が、自分は未見。だけど、ゲームとして一度やっておきたいとは思っていた。クリアしたので感想。

システムとしては、割とうまくつくってある。ただ選択肢を選ぶのでなく、使えるテーマ(カード)を使うべきタイミングに提示。とても簡単で、それでいて適度に難しく感じる時もある。純粋に物語を楽しんでくれって作り。

なので感想の中心はシナリオの話になる。ところどころネタばれ入りますよ。

結論から書くと「いろいろ楽しめたがいろいろチクハグ」。

金八先生は観てないけど、ともかく中学生学校教育ドラマものとして書くのであれば、そのテイストで踏襲してもらいたかった。チュンソフトサウンドノベルの楽しみで言うと、テイストの異なる様々なジャンルの話に出くわすバラエティさも売りの一つではあるのだが。今回は(もともとそういうつもりでなかったという経緯は知ったけど)超有名ドラマのタイトルを看板にしてしまった以上は、プレイヤーはそれを期待してゲームを手にする。もちろん期待を裏切るのも手のひとつだが、その逸脱ぶりが、賛否両論を呼んだのだろう。自分も、残念ながら否の方。

終盤までは、それこそ自分が金八先生の替わりに一話完結の様々な学園ドラマを体験してこれたのだが、よりにもよって最終話であんなエピソードを持ってくるなんて。
もちろん、主人公がいったん教師から退いていた過去と対峙させる話という意味ではクライマックスに持ってくる意味はある。分かりやすい「犯罪」という痕跡を残さず不幸を呼び起こすサイコな相手との対決は自分としても好きな部類の話だ。(って今になって思い出した。この犯人。浦沢直樹「モンスター」のヨハンそのものだな。影響受けただろ?)でも、中学3年の受験シーズンの話ですよ。クラスのみんなの受験の戦いの方が気になるじゃんよ。原作のドラマでも受験シーンはあまり描いてないの???

それに二周してトゥルーエンド観たけど、最後の犯人が「あのひと」っていうのもいろいろガッカリ。確かに「この中から犯人を選べ」ってシーンでは真っ先に候補にあがったさ。これまで物語にあまり関与せず、少し離れた位置にいて、詳細が描かれていなかったからさ。でも、最初はあえて外したよ。だってこのひとが自分達と学校を見守ってくれている、って信じてきたし、信じたい学校ドラマの前提だったから。このラストのシナリオが始まってから、すでに「明るく健全な中学学校ドラマ」から著しく離れてしまっていたけれど、これで止めを刺された感じ。

そんなわけで、楽しめたことは楽しめたから良作認定はするけど、「金八先生」原作ファンには勧められませんよ。

もうひとつ賛否の分かれるおまけシナリオ、「人にやさしく」も、「いじめ」というテーマは中学生ドラマでは必須なものの、いきなりロボットが出てくるSFテイストで実質的主役がその開発者たる博士、とドラマの世界観から逸脱してるのに違和感。