ドキドキ! プリキュア

ドキドキ! プリキュア 【DVD】vol.1

ドキドキ! プリキュア 【DVD】vol.1

スマイルプリキュアで「ああこれがプリキュアか」と思ってたのが、ガラリと作風が変わったのが驚きだった。スマイルは「普通の女の子もプリキュアになれる」が基本ベースなようで5人中4人は普段は並みのキャラ、むしろ平均以下ではないかという感じだったのが、ドキドキはみんなスペック高!特に際立つのが主人公、キュアハートたる相田マナさん。彼女の完璧超人ぶりは自分が見てきたあらゆる物語にもいなかったと思う。ありあまる知恵と勇気と力を自分のためではなく周りのひとたちに注ぐ、ありえない。現実感なさすぎ。彼女をサポートする仲間たちも総じて中のひとのデキがよろしい。…設定としては納得する。「愛」をテーマに他者愛と自己愛(ジコチュー)の対立を描く当作品。他者愛側のシンボルであるキュアハートには「みなぎる愛」を人々に注ぐために超人的なスペックが必要で、そんな彼女と付き合うのは凡人では無理なのだ。
こんな初期設定だから流れも普通の物語とはどこか違う。ほぼカンスト状態の相田マナさんはシリーズを通してほとんど成長がない、そんな必要もないように思えた。むしろ彼女に感化されて(もともとスペックの高い)仲間たちがさらに成長する、そんな物語だったと思う。

「自己愛と他者愛との対立」と前述したが、もともと対立するものではなく表裏一体であることが作品テーマの肝で。相田マナさんは相棒のキュアダイアモンドたる菱川六花さんにしばしば(他者に愛を振りまいた結果、己れをすり減らして破滅する)「幸福の王子」と揶揄される。が、結局そんなことはなく。他者愛=自己愛として両立できている彼女はむしろ他者愛の象徴キャラとして登場したキュアエース、円亜久里すらも成長させていく。

手短かにまとめようとしてむしろ面倒な書き方になってしまったが、要するに非現実気味な完璧キャラ、相田マナさんと頼もしい仲間たちに自分は惚れて、一年間楽しく観させていただきましたということで。逆に物語感&現実感が型にはまった人には不評だったろうと思うな。

音楽的な観点で書くと、アイドルでもあるキュアソード、剣崎 真琴が歌で敵の親玉キングジコチューの娘レジーナの心を開かせようとする場面(40話)が演出も含めて好み。失敗するけどね。

歌は「こころをこめて」↓に収録

ドキドキ!プリキュア キャラクターアルバム~SONGBIRD~

ドキドキ!プリキュア キャラクターアルバム~SONGBIRD~

それとプリキュアの変身シーン。変身バンクは特に興味ないけど。いさましさと優雅さとスケール感、それに今作は愛のイメージを意識して聴くとそれぞれが混在しててなかなか良い感じ。

[追記:2014.1.4]
お好みタイトルはその後の設定集やら資料本を買って余韻を楽しむのであった。

ネットの感想を読んでたらちょくちょく話題に出てくる「なかよし」版ドキプリが刊行されたというので購入。まどかマギカのときも勢いでコミカライズ版を購入している。アニメ放映と平行して描く事情から、漫画家自身のオリジナル感が出るのが良し悪し。オリジナル至上主義の自分には本来合わないのだけど、漫画家自身の作品への愛が感じられるのは、いい。絵柄もアニメからそれほど離れてないし、これは満足。

そしてコンプリート本。去年スマプリ版が出たときは「そこまでじゃない」と思って立ち読みで済ませたが、今回は購入して一気読み。作品を観て感じた作り手の意思がちゃんと読み取れていたこと、確認できたのがうれしい。マナは「器の大きい人間」として考えられたと知って納得。確かに彼女を一言で表すならそうなる。作品に出てこなかった設定としては、ありすに元生徒会長の兄が居て、マナに生徒会長立候補を薦めたというのが興味深い。作品内でも観たかったけど、出てきたら相当作品の流れが変わっていただろうから、出さないで正解だったのだろう。