ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち(3DS)

ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち - 3DS

ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち - 3DS

シリーズ中、これだけはリメイクされても買うまいと決めていたDQ7だったが、あっさりと購入してしまった。淡白でだらだらと長い展開も3DSで通勤途中にちまちまやる分には合ってそうだし、なによりシステム面の改善が素晴らしい。「3DSには立体的なフィールドの8を」と期待していたが、今作でも十分満足な出来。このシステムで4と5の再リメイクを願いたいぐらいだ。ただ、全編にわたって繰り広げられる欝シナリオはおそらくそのままだろう。質の高さは認めるが、やるせない話ばかりを長々と見せられるはずなので、心折れてクリアを断念する可能性がなきにしもあらず(全体的に簡単になってはいるらしいが…)。

当面の見所はあの衝撃のムービーシーンがどう改善されてるか、だな。当時は同時期にFF9が発売されていたけど、ムービーシーンのレベルが違いすぎで失笑した記憶が。あの頃はあきらかにFF>>DQだと思ってたけど、あれから13年か…遠いな。

DQ7 ムービー集

FF9 ムービー集

[追記:2013.04.07]
クリアー!79時間30分。わかっていたけど長かった。以下感想。

なにかといじわるな仕掛けが惨い。

序盤はそれほど戦闘きつくなかったのに、キーファがいなくなって「さあ、ダーマで転職だ」というタイミングで奴隷っぽい街に突き落とされ、スキルを奪われての連戦。マリベルがアイラと交代して層が薄くなったところで強敵ヘルクラウダーとの戦い(しかも死んでからそこに戻るまでが長い)。ヘルクラウダーは前回相当苦労した記憶が残っていたので、初回バトルで力量差を見せつけられたときにはクリア断念も考えたが、幸運なことに2回目であっさりクリアして助かった。マスター状態でのバトルが勿体なく感じるので、マスターに達したらすぐにダーマに引き返し転職していたのだが、リレミト、ルーラが使えない場面が多く面倒な往復が多かった。シナリオ上でもしばしば往復展開が多く、あえて親切設計をしないスタンスを感じたな。PS版からかなり改善されたはずだけど、根本的にそういうゲームなんだ、DQ7は。ラスボスもわざわざ嫌悪感の集大成を狙っているようにしか見えない。緑の肌。脳みそむき出し。そしてムカデ系の下半身。それが戦闘で4形態にも変化。どんどんゾンビ化していって愛着のかけらも湧かない。他のラスボスならデスピサロの哀愁感とか、ぽっちゃり体型のラブソーンとか、エルギオスだって結構格好いいでしょうに。

一方、シナリオは割と再評価できた。

個人的に。「物語」の進化をゲームのシナリオが追体験しているのではと考察したことがあった。初期ゲームのシナリオは単純な、神話レベルの物語が多かったが、表現力の向上とユーザーの志向の変化に伴い複雑化していくものだ、と。DQでいうと1-3は単純な神話レベルだったが、4-5で人々の繋がり、家族といった人間ドラマに重点が移っていき、DQ7における個々のシナリオは、ついに「現代文学」といっていい複雑さ、重さを得たと言って良さそうだ。ただ全体の物語としては非常にシンプルになってしまい、PSプレイ当時の自分には到底満足いくものではなかった。(自分は個々のパーツよりも全体の物語として評価したいひとなので)あの時は会社休んで早解きだったしなー。今回は個々のシナリオを余裕をもって吟味できたので評価できる。
印象に残ってるのはキーファ離脱イベント。これについてはそんなに複雑な話ではないんだけど遊牧民ユバール達との邂逅シーンは独特のBGMもあってドラクエシリーズ中でも少し雰囲気が違う感じがするんだよね。

で、音楽の話。

評価はぐんと上がった。PS時はとかく暗いBGMばかりが記憶に残っててあまり聴き直そうという気にならなかった。ビジュアル面の影響も大きいな。改めてプレイしてみて癒される曲もちゃんとあるしラスボス戦も少し良さがわかった。で、遊牧民ユバールのテーマ「トゥーラの舞い」が今回一番のお気にいり。かのウルティマにも「Stones」という曲調の似たのがあってこちらも好きではあるのだけど、個人的には「トゥーラの舞い」の方がいいかな。

この「トゥーラの舞い」、今更驚いたのは最初に出たDQ7サントラ未収録だったこと。DQ7サントラはオリジナル音源とオーケストラ版両方が入ってて、オリジナル版では入ってたのだけど、当時オーケストラ版しか聴かなかったのですっかり失念していた。DQ5で一番お気に入りだった「哀愁物語」が同じく初期サントラから省かれたときは相当腹立ったというのにな。

最後にシリーズとしての位置づけをば。

ドラクエは構造上4と5、6と7がそれぞれ対になっていると思う。4はひとつのストーリー複数キャラの視点でみる横軸の物語。5はひとつの物語を親子三代、長い時間軸で追う縦軸の物語。6と7はどちらも対になる2つの世界を交互に旅するのが共通点。6は夢と現実。7は過去と現代。そして6は全体のストーリーを複雑に書こうとしてわけがわからなくなってしまった反省からか7は全体のストーリーを超あっさりめにしてその分個々のシナリオを描き込もうしたようだ。全体に拘る自分のような人間には合わないのだが今見るとこの配分の方が相当マシな気がする。どのみち2つの世界をいったり来たりするだけでそこそこ混乱するのだから。
そんなわけで自分の好みとして4&5>>>>>>6&7は変わらないものの、6と7の好き嫌いは逆転した。オリジナルの6(SFC)と7(PS)では6>7だけど、リメイク版6(DS)と7(3DS)なら7>6だ。プレイしたタイミングやゲームスタイル(=据え置きでのプレイか携帯ゲーム機に変わったことで長期ダラダラプレイがしやすくなった)はもちろん、アレンジ差も影響しているのは確か。今後の過去版リメイクはすべてこの3DS-7基準で作っていただきたいものだ。