ファンタジーライフ(3DS)

当初購入意欲を沸かせる魅力が足りていなかった。スローライフなテーマは『どうぶつの森』で間に合ってた。キャラクターの絵柄もファンシーながらパっとせず。イメージイラスト:天野喜孝、音楽:植松伸夫を持ってくるのはいいが、このタイトルだと食い合わせがあんまり良くないような。それでも植松氏のサントラ付きってのがちょっとひっかかった。そこで。予約はやめた。発売後の評判を聞いて、そのうえでサントラ付きが売っているのなら、購入しよう。
そこから購入までの展開はかなりやばかった。まず発売後評判が悪くない。むしろ良い。む。興味が湧いたので店に探しに行くことにする。しかし販売数、サントラ同梱はさらに絞ってくるという事前情報どおり。秋葉の各店舗ではそもそも商品が置いてないところすらあり。当然サントラ付きは皆無。地元に戻って探すが、一番期待していた店は年末にて休業。その他では秋葉同様置いてすらいない。これは失敗したかな。
除夜の鐘を聴いて恒例、スーパー温泉に浸かりに行った帰り、雑煮の材料を買いにと寄ったドンキ・ホーテのゲームコーナーで、ダメ元で聞いたらあった。サントラ付き。もちろん購入。サントラの残りはあとひとつだと聞いて、ラッキー。幸先の良い年明けだと思った。
…で。一眠りしてついでに「一番期待していた店」に行ったら、たくさん売っていた。サントラ付きで。めでたさも中ぐらいなり。

ゲーム本編の感想。まだ序盤だけど地味に出来がいい。スローライフといいながら、ちゃんとストーリー本編がある。この本編を進めないとスローライフ部分も発展しないので主としてストーリー付きRPGとしてプレイすることに。自分はスローライフを楽しもうと思ってたのにと思いつつもストーリー部分でそこそこ楽しんでしまっている。ウーム。微妙なのか絶妙なのか難しいところだが、自分には合っているようだ。
ネットでも言及されているが、開発元が『聖剣伝説』のブラウニーブラウンなので、たとえファンシースタイルであってもしっかりと『聖剣伝説』のDNAが感じられる。また良い意味でクセのあるシナリオは『MOTHER3』譲りだそうで。古き良きFFの系統が『ブレイブリーデフォルト』に繋がったように、FF外伝の系統はこのタイトルに引き継がれたと見てよいのかな。結論はクリア後に。
[追記:2013.1.13]
ストーリーパート(マーズものがたり)をクリア。

これまでプレイしてきた中で最もやさしいRPG、といえるかな。
登場人物に悪人がいないってのはそれほどめずらしくもないけどまともなバトルなしに最後まで行けちゃうという、システムまでやさしい徹底ぶり。ライフ(職業)を極めるにはストーリーを進めなくちゃならないけど、ストーリーを進めるためにライフの成長は必ずしも必要ないってことか。自由度の高さがウリとはいえ「世界をつくりました。勝手に遊んでください。」では放りっ放しでユーザーは途方にくれてしまう。「まずは物語を体験しながらこの世界に親しんでください。あとは好きなペースで遊んでね」というのが今作のコンセプトなのだろう。なるほどね。

物語は奇をてらったものではないが、テキストの言い回しがいちいちセンス良いので退屈しない。特に好きなのはある女性との会話の一節。女性からの質問には選択肢が「はい」しかない。選ぶと「理不尽だって思うかもしれないけど覚えといてちょうだい」「人生には選択肢がひとつしかないこともあるのよ。」…なるほどね。

食い合わせが悪そうと思っていた植松氏の音楽も良かった。出だしがありきたりと思ってても聴いていくうちにシンプルながら心に残る植松氏らしいメロディラインにはまってしまう。「ピッカリーピッカリーのテ−マ」「モンスターたちの息吹」「酒場だカルメン」などがお気に入り。少ないが「ピンチのテーマ」などバトル曲もいい。サントラ出して欲しいな。

ストーリーは終わってしまったが、ゲームは終わらない。12のライフ(職業)でマスタークラスに達すると、植松氏作曲の各ライフの歌が聴けるのだ。ようやく裁縫士、錬金術師、料理人、鍛冶屋、大工まで聞けた。半分にも満たないや。