家政婦のミタ

仕事的な関係もあったのだけど、やはり興味があったから、というのが大きい。ショウタイムの見逃し配信を駆使しながら、後半は録画、そして最終回は普通にテレビで観た。

視聴率はついに40%まで行ったそうだが、それに見合った作品だったのか。面白かったのは確かだけど「ドラマ」の内容はさすがにそこまでではないと思う。今作の核はもちろん、三田灯という「キャラクター」だ。家事どころかほぼなんでも完璧にこなす、無表情で己れをさらけ出さない不気味な家政婦という特異なキャラクターがまず最初に考え出されたに違いない。そして、自分の意思を持たない(ように生きる)彼女を動かすための舞台が阿須田家。普通の家庭に入ったところで「○○を殺せ」とか「○○をめちゃくちゃに」とかいった物騒な業務命令(笑)は出てこない。ダメ親父を筆頭に、メンバーそれぞれが悩み苦しみ自暴自棄になる環境が用意されて初めて三田さんが活躍できる…と、こんな感じに世界観が設定されていったんだろうと思う。
だから家族の問題が一段落してからは、物語のダイナミズムが相当落ちてしまった感がある。三田さん自身が癒され、笑いを取り戻すには本当はもっと長い時間と、あどけない(そしてドラマ的には面白くなりにくい)日常が必要なはずだろうし。そうそう。笑いを取り戻した瞬間、自分には、彼女は三田さんではなく普通に「松嶋菜々子」に見えてしまった。もともと笑顔が印象的な女優さんだから、三田さんとして登場したときには別人に見え、笑った瞬間元に戻ってしまった。ドラマとして貴重なはずの表情がむしろ「お馴染みの顔」というのも皮肉なもんだな。
それと。うららの立ち位置は興味深かった。当初はトラブルメーカー的な扱いだったが、結の夢で「もうひとりの三田さん」としてシンボライズされ。阿須田家の面々が(おじいちゃん含め)それぞれ自分自身を見出していったなかで、最終回になってようやく彼女自身に決着がつくということからも、やはりうららがこのドラマにおける影の主役、ということなんだろう。(それにしてはもうちょっと活躍して欲しかったが。できないのがうららというキャラなのか。)
最後に。キャラクター三田灯を発想するに至った、さらにその原点はやっぱり「家政婦は見た!」からなんだろう。制作側が否定的なコメントを出すまで自分はそう信じることにする。勿論そんな他愛無い言葉遊びが出自でもここまでオリジナリティを出したというのはさすがだ。

日本テレビ系水曜ドラマ「家政婦のミタ」オリジナル・サウンドトラック

日本テレビ系水曜ドラマ「家政婦のミタ」オリジナル・サウンドトラック

BGMも良かった。三田さん登場のシーンや、緊迫した活躍シーン!(予告のやつ)