- 作者: 手塚治虫
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先に言い訳を書いておく。漫画喫茶で時間を気にしながら読んだので、細かいところをすっとばし気味だったのは確か。じっくり読んだら印象はもう少し違ったかもしれない。いや、そんなもんかな。
長い時間軸においてさまざまな登場人物の人生が交錯する作風はお馴染み長編手塚節。その点ではいつもどおり面白かったのは確かなんだけど、今回の題材はなにせ宗教的最重要人物。史実をどこまで再現しているのかがいつも以上に気になってしまう。後書きを読むに、やはり相当手塚オリジナルになっていたようで、ほんものの「仏陀の話」と思って読むには眉唾もののようだ。
ブッダ自身の扱いは相当苦労したんじゃないかな。普通に考えて、悟りを開ききってしまったキャラではまともなドラマは作れない。そのためかしばしば悟りを開いたと思いきや、都度俗世の迷いに囚われるのが情けない。人間らしいといえばそうだが、じゃあブッダが生まれる前とかに何度も訪れた奇跡的事象やらと整合性がとれないじゃないか、と。
原作の感想はここまで。
で、読み終わった後に映画の公式サイトを見た。もともとね。大人気長編ものの映画化は難しいのよ。ここまでお話にならないレベルで尺が足りないと思い切り筋を省略するとか、大胆にエッセンスだけを抜き取って全く別物にしなくてはまとめようがないのだが、人気作になるほど改変に対する周りのプレッシャーもきつくなる。そして相手は漫画の神様が書いた神様の話だ。到底無茶はできまい。と思いつつイントロダクションを読んで不安はさらに増す。大方の予想どおり、1巻のドラマメインでまとめるようだが、原作の1巻はまだブッダが生まれるかその前かといったところ。映画で重要人物扱いされているキャラはブッダと邂逅すらない、立ち位置的には前座だ。もちろんそこは全体のストーリーを予感させる大事なテーマにはなっているのだが…。大胆に再構築された奇跡的作品に仕上がっていることを祈るしかなさそうだ。
(長編手塚作品は、大河ドラマあたりでやってくれると面白いと思うのだけど。「火の鳥鳳凰編、乱世編」とか。「アドルフに告ぐ」が一番見てみたい。)
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