逆転検事2(DS)

逆転検事2(コレクターズ・パッケージ)

逆転検事2(コレクターズ・パッケージ)

(おすすめは(コレクターズ・パッケージ)。サントラ付きなのがうれしい。)

クリア。個人的には前作、逆転検事よりも満足度は高い。
逆転検事は、シリーズで初めてシナリオライターが「逆転裁判」とは違うのが一番の心配だった。「逆転裁判」はもともと作家性の強い作品なので。表面上、法廷さながらの議論バトルなどは杞憂に終わったが、それでもいろいろ違和感があった。前に書いた記事でも述べたが、要は「法廷外での議論は変」で「全体の話が軽い」ところ。おそらくコンセプトは「逆裁キャラをなるべく多く登場させるお祭り感」にあったのだろうから、結果的にそうなるのは必然なのだが。

2作目の今回には「お祭り感」は不要だ。そこでシナリオは本編に劣らない骨太のドラマを構築しようとしたようだ。個人的にはこの流れは大歓迎。以下、シナリオの感想になるのでネタバレ注意。



本編1作目で回想に出てきた御剣の父、信は弁護士だったわけで、この設定をうまく絡めた「父から子への継承物語」が大テーマだったのだろう。テーマの徹底はいくつもこのパターンを繰り返すところにもある。それぞれ内容が違うのがうれしいじゃないか。
その1、「御剣信→怜侍」は、善なる父の無念を子が晴らす。父越えの物語でもある。
その2、「狼 士龍」は善なる父の無念の真相を知るが、そこまで。父を越えるには至らない。
その3、「風見豊→ラスボス(!)」は悪なる父の生き方を本人の意図なく継承。
その4、「王帝君→息子」は善なる父の想いが息子に継承されるが、そこまで。おそらく父越えの話は作品のその後、未来に来るのだろう。
その5、「一柳万歳→弓彦」は悪なる父の庇護にいた息子が、見捨てられ、ついには父を越えようとする。実力はまだだが、内容としては父越えの物語といってもいい。
こうしてみると、やはりストーリーの山は父越え話を書いたその1(御剣)とその5(一柳)にあると思う。「御剣」話をあえて中盤に持ってくるのも良かったが、「一柳」話がトリを飾っていないのがちょっと勿体無かった。せめて余韻ぐらい持たせてくれればよかったのに、そのままラスボスとのバトルへ。ラスボスが後味の悪い性格なので締めのカタルシス感が乏しくなってしまった。(ラスボスは浦沢直樹の「MONSTER」のようなキャラを狙ったのだろうが、それにしてもちょっと弱かったかな。)
あと、父話だけかと思ってたら、ちゃんと母親の話もあるのね。良き母と悪き母。良き母はもちろん水鏡秤。一柳弓彦に対しては庇う母、一方御剣には試練をもたらす母。そして最終的には法の加護のもと、あまねくすべてに対する母なるイメージをもたされたキャラなのかな。一方の悪の母は美和 マリー。刑務所や児童養護施設を「ホーム」として母性を強調しているが、それはすべて偽善なわけだ。

…などとまとめてみたくなる程度には楽しめたということ。次回作があるならぜひ御剣視点での成歩堂との対決が見てみたい。