グイン・サーガ「見知らぬ明日」→「ヒプノスの回廊」

グイン・サーガの作者、栗本薫が亡くなってからそろそろ2年か。130巻にして最終巻「見知らぬ明日」はずっと通勤鞄に入れたきり、読んでこなかった。もう続きがないと実感した瞬間、物語のキャラクター達が糸の切れたあやつり人形のように思えてきて、結果的に封印してきたようだった。ところが先週本屋に行ったら新刊が出てるんだよね。シリーズに入っていなかった読切を集めてきたとかで、わりと納得した次第。ようやく「見知らぬ明日」を読む気力が沸いた。

前巻では、ミロクの都、フロリーのピンチで終わったはずなのだけど、当巻はヴァレリウスがうじうじ考える話がメインか。終盤はこういう展開が多かったな。それらしい。で、フロリーに戻ったところで絶筆。覚悟はしてたがあっけないな。

続いて新刊へ。あとがき見て表題作へ。

ヒプノスの回廊―グイン・サーガ外伝〈22〉 (ハヤカワ文庫JA)

ヒプノスの回廊―グイン・サーガ外伝〈22〉 (ハヤカワ文庫JA)

いや、まー、驚いた。130巻ずっと先延ばしされ、ついに明かされずに終わったと思ったランドックやアウラ・カー、そしてグインの正体があっさりと書かれている。調べるとPANDORAなるファン向けグッズの箱の奥に入れられた書下ろしだったようだ。
グイン・サーガ特別限定ボックス『PANDORA』 ([Box商品])

グイン・サーガ特別限定ボックス『PANDORA』 ([Box商品])

2006年9月の頃か。作者はこの時期すでになんども死線をさ迷っていたようなので、ファン向けに置き土産として残したネタバレ作品、と自分は受け取った。話は夢オチっぽく終わっているので納得いかないひとは無視しても良いだろう。実際作者がシリーズを書き続けていったら別の設定に変わっていた可能性もあるし。ただこの書き下ろし時点ではこのオチだったのだろうと自分は確信したし、それで納得できた。結末をみるためにもぜひ「創作ノート」を見る機会に恵まれたいとは思うが、おかげで半分ぐらいあきらめられたよ。